★4 | 椿山課長の七日間(2006/日) | 単なる泣かせ話とバカにしていた立場からすれば、意外にまとまりよく、そつなく構成されたストーリーに唸らされる。それだけに、やはり周りの空気を読みつつぐいぐい自分を押し出してゆける西田敏行を主人公に据えたのは間違いだった。どんな女優であれ、彼の模倣演技を「心を込めて」演るのは不可能であろうから…。 | [投票(2)] |
★3 | いちばんきれいな水(2006/日) | 菅野莉央の大人びた演技の自然さに対して、加藤ローサは子供の心をもったティーンの娘を演じる努力を怠っている。菅野の成長をこそむしろ楽しむべきだろう。 [review] | [投票(1)] |
★2 | クリムト(2006/オーストリア=仏=独=英) | 美醜に対する幼稚な問答の繰り返しと、最早古ぼけてしまった前衛と、ペシミズムと衒学趣味に彩られた「宿命の女」探しの貧相な迷路でできたフィルム。ここからは何も生まれるものはない。クリムトのプロフィールはこんな安っぽいものではない筈だ。 | [投票(1)] |
★4 | きみにしか聞こえない(2007/日) | 成海は大きな口とえくぼがチャーミングで、思えばデビュー当時より随分綺麗になった上に、演技力も増している。彼女を襲う悲劇がこの作品のクライマックスになるが、むしろ逞しくそこから成長する彼女がなんとも魅力的だ。 [review] | [投票(6)] |
★2 | 海でのはなし。(2006/日) | スピッツありきの物語なのだろうが、それぞれのナンバーが場面に結びついていないし、むしろ明らかにされる重いファクトが中和されてしまう軽薄さを感じる。 [review] | [投票(1)] |
★2 | 監督・ばんざい!(2007/日) | この映画のキャラクターはかつてのコメディアン・ビートたけしの分身ばかりだ。その中で、ギャグに臆病になってしまったたけしだけが、分身の人形に身を守ってもらって震えている。 [review] | [投票(7)] |
★3 | 暗いところで待ち合わせ(2006/日) | 主演の田中とチェンが若さに似合わぬ深い演技を見せてくれ、ちょっと長めの物語を飽きさせず、ぐいぐい引き込んでゆく。ただ、全般的な他のキャラクターの描き方が些か平板であり、その善悪がはっきりし過ぎていたのが気になった。 [review] | [投票(2)] |
★1 | 男はソレを我慢できない(2006/日) | この監督は「映画」という方法を信用していない。竹中直人は動かした上で喋らせてナンボの素材なのに、それを単なるコマとして画面を滑らせている映画が面白いハズはない。使用法錯誤も甚だしい鈴木京香は、いい女に見えねばならないのにストップモーションのデク人形にしか見えない。ギャグを字幕で二重に見せるほどカッコ悪いことはない。もうこの監督は音楽ビデオだけ撮っておれば良い。 | [投票(1)] |
★2 | THE焼肉MOVIE プルコギ(2007/日) | 焼肉が『クレしん・栄光のヤキニクロード』に毛の生えた程度にしか旨そうに見えないのはどうしたわけなのだろう。しかしこの映画で一番不味いのは、役によって演技を変えることを知らない凡才俳優・松田龍平だ。 [review] | [投票(2)] |
★1 | かにゴールキーパー(2006/日) | 少年少女、ヤクザと風俗ギャル、サッカー選手たち、そして藤岡弘、と竹中直人コンビが演技レベルでも演技内容でも全く違ったそれぞれの世界を作り出しており、まるでバラバラ。『コアラ課長』まで見られた作品の絞り込みすら為されていない。でも言下のもとに「駄作だ」と言ってしまうと却って河崎監督は喜ぶらしいからなあ…。 | [投票(1)] |
★4 | しゃべれども しゃべれども(2007/日) | 不器用な役者には、不器用な役者を育てる土壌がちゃんと用意されるべきだ。国分太一は決して役者として一人前とはいえないが、彼の切れ目なしで演じたという「火焔太鼓」にはさすがに感心させられた。 [review] | [投票(8)] |
★4 | 時をかける少女(2006/日) | ノスタルジーに絡めとられたリメイクなど無意味だ。そういう意味では、本作はいい意味で我々を裏切ってくれた。筒井康隆も、大林宣彦も、原田知世さえもこの物語に関係はない。 [review] | [投票(5)] |
★3 | 黄色い涙(2007/日) | 永島慎二の漫画から、ドラマ化を経て実現した映画化作品。作品としては手堅い出来であり、嵐のメンバーの熱演も著しく、ひとつの世界を完成させている。だが、自分から観る限りこの作品は淡々とし過ぎていた。自分の求める「映画」がここにないと知った時点で、これは単なるノスタルジーフィルムに成り下がった。 | [投票(4)] |
★3 | 問題のない私たち(2004/日) | 事もあろうに、いじめっ子のリーダーが主人公である。そんな物語を陰険→爽やかへと持ってゆく強力無双の力技。設定はきわめて現代の少女に親しいものだが、ここまで突き詰めた認識は残念ながら少女漫画の中にしかありえないと感ずる。もしこの勇気を今の少女達が持てるのなら、それは素晴らしいことであるのだけれど。 [review] | [投票] |
★3 | パッチギ! LOVE&PEACE(2007/日) | 根本的に作品全体を観れば、各エピソードの繋がり方が乱雑であり、井筒作品としても高い評価を下すことは出来ない。しかし、70年代から連綿と続く自己陶酔型戦争大作に果敢に挑んでいるという意味で、この作品は勇気ある挑戦作として認められる。 [review] | [投票(9)] |
★3 | ジョニーは戦場へ行った(1971/米) | 総てから隔絶された主人公は、妄想の中にのみ擬似現実を見い出す。父、義父、婚約者、会社の上役、キリスト…。彼らは妄想の中でこそ生き生きとしているが、決して彼に何事もしてくれはしない。 [review] | [投票(2)] |
★1 | バベル(2006/仏=米=メキシコ) | 堕落と腐敗の世界帝国・バビロニアの首都は現代では日本なのか。『真説・東京バビロン』とでも改題して上映するがよろしかろう。 [review] | [投票(15)] |
★4 | あしたの私のつくり方(2007/日) | ひとつの助走装置としての嘘。これは、他人事としての幸せな青春は見極められても、決して自分に適合させることのできない不器用な少女の、友情の助走だ。 [review] | [投票(3)] |
★2 | 新選組(1969/日) | 改めて人間臭い演技を身につけていた芹沢鴨役、三國連太郎の存在の大きさを知る。彼の消えた舞台にはスケールの小さな未熟者、そして偉大なる大根三船敏郎が残るのみであった。佐藤勝のセンセーショナルな音楽の鳴り響く中、チャンバラだけが堂に入った空虚なドラマが続いてゆく。 | [投票] |
★4 | 鰐〈ワニ〉(1996/韓国) | キム・ギドクの画家という仕事への未練が垣間見られる。青く塗られた亀と手錠、水底の応接間、そして膨大な数の似顔絵たち…。 [review] | [投票(3)] |