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エピキュリアンさんのコメント: 点数順

★4サブウェイ(1984/仏)映画って、初めから全てが明晰に見えてると、だめになるのかも、と考えさせられた作品でした。この頃のベッスンは見えないところがたくさんあって手探りでつくってるから、面白い。すごい近視眼的な展開が、ぎゃくにスリルを生んでいるし、特異な世界を生み出している。ジャン=ピエール・ジュネが撮ったらカルトになったかも。[投票]
★4天国の門(1981/米)最後の方、お金なくなっちゃったのねー、っていうセッティングだけど、十分に面白かった。ストーリー自体をわからせようとおもったら、1時間半もあればできたんだろうけど、チミノの情熱は当時を「映像的に再現」することにあったんじゃないかな。冒頭はもちろん、西部のなかの都市をセットで奥行きまでぜんぶつくっちゃッたりするチミノの執着を味わう大作でした。[投票]
★4花火降る夏(1998/香港)「返還」は、ドラマの装置であって、テーマじゃない気がしたんだけど、どう?やっぱりフルーツ・チャンは、人と街が描きたいんだろうな、って感じました。ある時間の中の人間達の関係の変化と感情を顕微鏡的に観察しつづけた後に、どっかーん、と花火がくるカタルシスは、可笑しくて悲しくて切なくて美しい。[投票]
★4刑事グラハム 凍りついた欲望(1986/米)監督マイケル・マンだし、撮影ダンテ・スピノッティだし、全編に主観撮影の緊張感はりりしく漲っていて素晴らしい。でもね、トマス・ハリスが次作『羊たち〜』で少女が大人になるイニシエーションを主題にいれて、またジョナサン・デミがそれを見事にフィルムにしてしまったので、男のロマンはちょっと軽く見えちゃうよねー。いい作品なのに、不運だったかも。[投票]
★4波止場(1954/米)牧師の存在が、なんか象徴的かつはらはらさせる要素として、鍵になってる気がした。あの牧師を主人公にした脚本も可能じゃないか、とさえ思えたし。波止場に突きだした掘っ建て小屋と、それをとりまく群衆劇が、舞台装置としてすごく効果的。M・ブランドは立ってるだけでも絵になる希有な役者。[投票]
★4二十日鼠と人間(1992/米)原作が偉大であるにしろ、「人間というのはこういう動物である」というのを、わずか2時間によくまとめたもんだ、と思った。穀物の粉やほこりで鼻がむずむずしそうなアメリカの内陸の風土をすごくよくとらえたカメラも素晴らしい。この風土が排他的なナショナリズムの温床なのねー。[投票]
★4仕立て屋の恋(1989/仏)撮影と編集はいつもながら上手。上手すぎてCMみたい。無口な返事の内側から出来事を見つめるストーリーのアイディアは凄く好き。変態とかオヤジとかいう一言で片づけられていた人々への愛情に満ちているから。ただこのストーリーなら、もっとたどたどしく語るべきなんじゃないかなー。そこがちぐはぐに感じちゃった。[投票]
★4リビング・イン・オブリビオン 悪夢の撮影日誌(1994/米)大好きなブシェミさんの素晴らしさが、もっとも良く堪能できる作品だとおもいました。執着と短気が、こんなにチャーミングな人は他にいないでしょう。しかし、撮影時のトラブル、めちゃくちゃにリアルで、はじめ笑っていたけど、だんだんこっちも胃が痛くなってきた(笑)。助監督役はとくにリアル。[投票]
★4トゥリーズ・ラウンジ(1996/米)ああ、ブシェミって、実際にこのリズムの人なんだーって思って、さらに好きになった。彼が目の前で、なにか面白い話しを語ってくれるとしたら、こういう感じなんだろうなー、と思った。そして、どのキャラにも(=どんなダメ人間にも)愛情がそそがれていて好き。それにしてもブシェミの親戚か家族がいっぱいでてるなー。[投票]
★4痴人の愛(1967/日)若い頃は、一種の幻想だとおもっていたが、大人になって実際にこういう女がいることを知ってから、見方が変わった。安田道代、すごいリアル。小沢昭二はじつに的確なキャスティング。普通は、田村正和から観た物語が語られるけど、ナオミのような女が最後のすがりつくのは、小沢昭二のような男しかないよね。増村の物語を映画にする力に脱帽。[投票]
★4北ホテル(1938/仏)もろにセット撮影みえみえの映像なのに、そこで起こる出来事や人物が、まったく非・予定調和でものすごくリアル。観た後、まるでこのホテルに自分がしばらく滞在したかのような印象が残ったっけ。物語もリアルに感じられるのは、映像がリアルだからじゃない、ってことを身をもって実感できて、なんだか、感動してしまいました。[投票]
★4バスキア(1996/米)ニューヨークのアートシーンの人間関係や出来事なんて、絶対に藪の中なんだから、こういう作品はストーリーで観るよりは、人=キャラを楽しむしかないでしょう。ボウイ、デル・トロ、ホッパーとどれの素晴らしい存在感だけど、オールドマンが切ないぐらい良かった。あと中華レストランのテーブルにヴィンセント・ギャロが居て、笑えた。[投票]
★4アリ(2001/米)言い訳や説明は排除して、自分の文脈で通す。ラップ発生にも通じるような「行動」を発明したアリにたいして、M・マンは、映像も説明を排したモンタージュで応える。その心理描写はアリやマイルス・デイビスと同じように孤高に人間の尊厳を讃えている。説明不足だって? So what? So what?[投票]
★4浪人街(1990/日)こちらを観てからマキノ版を後で観たのですが。それへのオマージュなんだけど「雨」と「夜鷹」と「船宿」など、オリジナルにない素敵な設定もあって私は好き。それに彼らを合法化するための設定の変更もいい。とくに『羅生門』からはじまった「めちゃくちゃなチャンバラシーン」を発展させた刀をいっぱいもったラストは素晴らしかったです。[投票]
★4外人部隊(1934/仏)大胆な時間のジャンプ。予定調和を壊してスリルを生む占い的確な使い方。貴種漂流話と思わせて裏切る結末。およそ90分ほどのなかに、驚くほど多彩な要素が的確に展開する素晴らしい構成に脱帽です。運命あるいは偶然=必然に戦いを挑まずにいられない人間の意志の見事なエンタテイメントでした。[投票]
★4クリシーの静かな日々(1990/独=仏=伊)放蕩の果てに精神の楽園は来るのか、と、ヘンリー・ミラーは考えつつ、しかし、後悔してないのだろうなー。女たちの中に迷い込んだ男と、パリに迷い込んだアメリカが、パラレルになっているように見えるのは、気のせい?いや、英語とフランス語をちゃんと使い分けたシナリオは、それをかなり意識してたとおもう。[投票]
★4ノーマ・ジーンとマリリン(1996/米)愛されないで育ったので、人はもちろん自分を愛する術をしらずに、過剰な愛情をより多くの人から求めて、あまりに多くを求めるあまり、誰にも愛されなくなってしまった。という有名なモンローの心理を、上手に描いていると思った。こういうタイプは誰にも救えないところが怖いし哀しい。 [review][投票]
★4溝の中の月(1982/仏)セットって閉塞感というか、夢幻的というか、独自のトーンがあって好きです。『パリの屋根の下で』も閉塞的な悲喜劇だったけど、それの直系って感じがした。それと港のロケシーンの開放感が、後半の哀愁をさらにコントラスト濃く高めていた感じ。月とN・キンスキー素晴らしい!!!。[投票]
★4タンデム(1987/仏)「ほとんど一般化できないけど、すごい共感がある」テーマ、とでも言えばいいのかな。すばらしい。男について、考え抜いている、とさえ思った。そして救済としての女が出てこないところも、辛口でいい。最近のP・ルコントって、へんに軽いロマンス物ばっかり、と思っていたので感心。でも、いつからこういうテーマを捨てたのだろう・・。[投票]
★4普通じゃない(1997/米)ベティ・サイズモア』もそうだけど、こういうワザと低温にしたユーモアというかギャグって、ひとつのジャンルとしてあるのかな?あったら誰か教えてください。けっこう好きな温度なのですが、でも、よくこう言うのにお金を出す人がいるなー、と感心。映画の豊穣さの、一例だと思います。[投票]