OKさんのコメント: 点数順
ブルーベルベット(1986/米) | これはデヴィッド・リンチ流のフィルム・ノワール論なのだと思う。白々しいほどまばゆい「郊外」と「学園」の平和な日常のすぐ隣に、「犯罪」「ギャング」「淫蕩な女」の禍々しく謎めいた闇の世界が口を開けている。 | [投票(3)] | |
アンブレイカブル(2000/米) | きわめてひねくれたヒーローもの。荒唐無稽で漫画的な話をいかに日常リアリズムの文法を踏み外さないで撮るか、という作劇の綱渡りが刺激的。かっとんだ動機にびびりつつ歪んだ笑いが浮かぶ。 | [投票(3)] | |
アンダーグラウンド(1995/独=仏=ハンガリー) | 壮絶な法螺話。現代史の時空をねじまげ、並みの映画なら五本ぶんくらいの濃密な「物語」を詰め込んだ力業に圧倒される。終幕の場面を思い出すだけで鳥肌もの。 | [投票(3)] | |
陽だまりの庭で(1995/仏) | 美少女の孫娘に萌えていたら大変なことに。フランス人らしいひねくれた諧謔が冴える、ファンタジックで奇妙な味の戦争寓話。『ライフ・イズ・ビューティフル』がぬるかった人はこれを観るといいのでは。 | [投票(2)] | |
ブラッドシンプル(1985/米) | 『郵便配達は二度ベルを鳴らす』のコーエン流変奏曲。シンプルな三角関係の殺意が「汚れた探偵」の介入でよじれまくる作劇の妙。 | [投票(2)] | |
フィアレス(1993/米) | 冒頭から不可解な言動を連発する主人公。そこに一切の説明を加えないまま淡々と撮りつづける徹底した不親切さ。このため感情移入を拒む作品になっているけれど、映画には強烈なスリルが生まれている。 | [投票(1)] | |
ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000/英=独=米=オランダ=デンマーク) | 「人がいきなり歌いだすのって不自然だよね」に「だって白昼夢だから」と応える、意地悪でひねくれたアンチ・ミュージカル映画。主人公の妄想世界が現実を捏造していく多重構造がスリリング。 | [投票(1)] | |
まぼろしの市街戦(1967/仏=伊) | 奇跡のような映画。現実を超えた何かを本当に見せてくれるのが映画の素晴らしさなんだと、改めて実感させられる。 | [投票(1)] | |
ミラーズ・クロッシング(1990/米) | スタイリッシュで隙のない懐古調フィルム・ノワール。狡猾なのか天然なのか、何を考えているのかわからないニヒルな主人公像は、感傷を排するハメット流ハードボイルドの文法を忠実に再現している。 | [投票(1)] | |
ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998/英) | パズル的クライム・コメディの秀作。登場人物それぞれの勘違いを見事にかみあわせた軽妙で知的な脚本に拍手。 | [投票(1)] | |
素晴らしき哉、人生!(1946/米) | 時系列順の『市民ケーン』は結論も前向き。これはもはや現代の神話でしょう。ファンタジーと人間味のバランスが絶妙。 | [投票] | |
希望の街(1991/米) | 社会派群像劇のお手本のような作品。 | [投票] | |
レザボア・ドッグス(1992/米) | 時系列を錯綜させた犯罪映画のひとつの到達点でしょう。肝心の犯行場面を映さないまま、周辺の無駄な会話で映画を埋めつくす、軽やかな肩すかし感覚が絶妙。ただいくらなんでも流血させすぎのような。 | [投票] | |
バーバー(2001/米) | コーエン兄弟によるフィルム・ノワール講座。あまりにも模範的なので面白味は少ない気もするけれど、アメリカン・ドリームの敗残者と、ありふれた日常生活を踏み外したことから転がり落ちる深淵を、端正に描いた手並みには感心。 [review] | [投票(4)] | |
ブラザー・フロム・アナザー・プラネット(1984/米) | WASP中心でない多民族のアメリカ社会、そして人種や偏見を超えた対話と交流を描くこと。ジョン・セイルズの持ち味がさりげなく発揮された秀作。喋らない主人公の無感情な視点が、NYのスラム街の日常をカメラ的に観察する構造と重なる。 | [投票(3)] | |
スローターハウス5(1972/米) | 主人公の錯綜した時間感覚を観客も共有できる。これは映画ならではの体験だと思う。全篇に漂う孤独と哀切、不意に挿入される張り詰めた美しい場面。個人的には原作よりも好きな映画化作品。 | [投票(2)] | |
靴をなくした天使(1992/米) | フランク・キャプラの『群衆』を現代に語りなおす試み。マスメディアによって作られる「ヒ−ロー」の裏表をふたりに分担させているのが巧い。「シンデレラ」で「王子と乞食」な展開は、現代の御伽噺を語るための布石か。 | [投票(2)] | |
アラバマ物語(1962/米) | 幼少期の神秘と理想的な父親像を神話的に回顧する端正なモノクロ映像が良い。難をいえば、時代背景のせいか黒人差別をめぐる裁判に力が入りすぎてバランスを崩しているかな。 | [投票(2)] | |
群衆(1941/米) | マスメディアによって捏造される"John Doe"現象は、「偽キリスト」をめぐる寓話でも、当時の欧州のファシズムの風刺でも、そして他人の書いた話を俳優が演じる「映画」の内幕のようでもある。結構シニカルなキャプラ映画。 | [投票(2)] | |
トラフィック(2000/独=米) | ハリウッド的な大仰さをすり抜ける演出に好感。話はよくできているけどいささか保守的なのが気にならないでもない。独特の採光と色調はさすが。 | [投票(2)] |