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[コメント] スパニッシュ・アパートメント(2002/仏=スペイン)

この青春映画のもう一つのテーマはEUだ。
新人王赤星

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大戦の悲劇を経て生まれたグローバリズム。時間と距離を克服した人類が国境の概念を越えて、人種を超えて、地球村市民であるという理想が根底にはある。人類史上類を見ない巨大共同体EU(現在25カ国)という実験。グローバリゼーションが民主主義への統一(の為の聖戦)という矛盾を抱え、アメリカに対抗するべく膨れ上がる人権尊重共同体EUの目指す先には当然障害も多い。結局先送りになったイスラム教国家と言えるトルコはどうするのか?政教分離の原則とキリスト教はどうするのか?

しかしそれでもこの人類史上かつてない壮大な実験を希望を込めて死ぬまで見届けたい。

この映画ではEU加盟国である国の学生達がそれぞれの価値観をぶつかわせああでもないこうでもないとやっている。それと同時にスペインの学生が怒りを示したようにその国の性質を一般化する事は拒否している。それぞれは妥協もしなければ言葉も統一されない、ルールでさえそうだ。しかし彼らはこの共同体を成り立たせる。大事なのは違う価値観と文化が存在している事実を尊重していることだ。国に誇りを持ち、そして国なんて簡単に乗り越えてしまっている若者たち。

この映画のハイライトの一つがアメリカ人の男の出現だ。共同体の中で一番協調性の欠けてたのがイギリス人の女性(!)。しかしいざアメリカ男との浮気のせいでピンチに陥ると一致団結して助けるのだ。これがEU魂?まるで現在の世界情勢そのまんま! この皮肉たっぷりの戯画には笑わせてもらいました。

しかし、何と言ってもイギリス女性のアメリカ男評が凄かった。

「そうよ、彼は中身のない、セックスだけの男よ!」

(評価:★4)

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