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[コメント] デイ・アフター・トゥモロー(2004/米)

観た後、妙にすっきりした気分になりました。多分、それは私の大好きな作家の作品を思い起こさせてくれたからでしょう。★2〜★4まで、どの点数でも付けられますが、とりあえず無難に★3。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 地球規模のディザスター映画。派手で空疎な作品を作らせたら、やはり本領を発揮するエメリッヒ監督(いや、決してけなしてるわけではないぞ…幾分かは)。正直外れを予見していたのだが、思った以上に引き込まれた自分がいて、それが意外と言えば意外。

 この作品を通してみて、ストーリーや設定はともかくとして、エメリッヒ監督の勉強熱心さだけは認めたくなる。この人、ディザスター映画の本質というのをちゃんと分かっている。

 ディザスター映画の醍醐味とは、派手な演出にあるのではない。突然の災難に対する群像劇と、やがて一つの物語に収斂していく過程にこそある。登場人物はどんどんどんどん減っていき、やがて主人公の個人的活躍へと話は移っていく。それは個人プレーではなく、仲間の協力が必要だという点。地球規模の話だった割に、ちゃんとその辺が出来ていたのは評価できる。と言うか、よくこんなちっぽけに話を持っていったもんだと、変な感心をさせてもらった。

 ただ、実はそれは醍醐味の半分。元々アメリカン・ニュー・シネマの対抗のように流行りだしたディザスター映画の面白さとは、カメオを含めての豪華な出演陣にあった。いわゆる『グランド・ホテル』形式がかつての身上だったのだ。現代では出演費がかさみすぎて無理だとしても、引退間際の役者を集めて老人達のパニックを表すとか、その辺はやって欲しかったところ(失礼かな?)。

 それと、この作品を観ている内になんか妙に親和感を感じたのだが、これはどこかで似たようなのが…と思ってふと気が付いた。色々な映画を確かに思い出させるのだ。挙げてみると、それは『日本沈没』(1973)であったり、『復活の日』(1980)であったり、『首都消失』(1987)であったりした…全部邦画。しかも全部小松左京原作作品だ(笑)。確かに小松左京はカタストロフを描いた作品多いけど、なんか見事に本作に取り込まれていた気がした。かつて『GODZILLA』(1998)を監督したこともあってか、意外にこの監督日本の映画好きなんじゃ無かろうか?あるいは個人的に小松左京のファンだとか…裏取ってないから断言は出来ないけど(そうそう。ゲームの「バイオ・ハザード」もあったか)。

 一応お約束のツッコミを少々。

 豪雪のシーンがあるけど、豪雪地帯に住んでいたなら分かるが、あれは描写が甘すぎる。あれじゃ普通の雪となんら変わりない。雪そのものが恐怖という描写が無いのは片手落ち。

 スーパー・ストームの目に突っ込んでいくサム達。なんでわざわざ冷化現象が彼らを待ってる?もう台風の目に入ってるから、どんどん冷えてるはずなのに。それに冷化現象がご丁寧に上から順々に起こるなんて事はあり得ないだろうに。

 ジャック達がショッピングモールの天板を踏み抜くシーンがあるが、なんでモールの上だけ雪があんなに少ない?天板自体が存在してる事が変だろ?

 図書館に完全版のグーテンベルク聖書が置いてあるけど、あそこに置いてあるのは本の形じゃなくて、紙面一枚一枚を密封パックにして置いてあるはず(土台完全版なんて存在しない)。

 などなど。さすがに科学的根拠については私も分からないのでツッコめないけど。

(評価:★3)

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