努力の過程を排除した構成は「安易」なのか、それとも「省略の妙」なのか。

これは二番煎じだし、ラストなんか丸わかりのベタベタなストーリーだ。私が彼女等に感情移入したのは、ラストにあるだろう大団円だ。

リアルじゃないかも知れないが、涙と汗のスポ根的なドラマなんか観たくもない。そんなのは『エースをねらえ！』や『アタックＮｏ１』で充分です。だからコレは女の子たちが夢に向かって突き進む「夢物語」でいいんです。シリアスドラマを期待しての本作だったら、こんな私でさえ拳は怒りで震えていたでしょう。

矢口史靖監督が描く少年や少女は明るく青春を謳歌している。キレイなとこばっかり切り取っているなんて野暮な突っ込みは本作には当てはまらない。だってコメディーなんだし・・・

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っとココで、アノ演奏は吹き替え無しで役者たちの実演だったという事実を知り、驚くとともに、この監督巧いなぁ（ずるいなぁ）と思った。

映画という作品自体では、確かに練習シーンはバッサリ抜け落ちて批判の対象に成らざるを得ないのでしょうが、作品の外で、役者たちが実際に努力練習を重ねていたという「裏話」を公けにする事で、観客はソレを作品の一部として勝手にイメージを結合させてしまうのだ。否、せざるを得ない程に彼女等の演奏は素晴らしかった。

この映画、もしも演奏シーンがプロによる吹き替えだったとしたら、数々の批判は的を得ていると思う。しかし、非常にずるい方法だが、作品の外の「裏話」までをも上手に作品の一部として取り組んでしまったのではなかろうか？

だからコレは「省略の妙」なのだ。