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[コメント] ベルヴィル・ランデブー(2002/仏=ベルギー=カナダ=英)

カワイーだの萌え〜だの深遠なテーマだのといった流行アニメのドタマを無言でぶち抜く正真正銘の“アニメーション”
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







勝手な推測だが、日本のアニメは“マンガ”を動かすことで始まったような気がする。 一方、ヨーロッパのアニメは“映画”を絵で表現するところから始まったのではなかろうか。 ま、勝手な推測なんですけど。 そんな根拠のない推測をしてしまうくらい、圧倒的な文化の違い=圧倒的な大人の文化をこの映画は感じさせる。

根底はジャン・ピエール・ジュネのそれと似ている。 全体の雰囲気が『ロスト・チルドレン』に似ているのもさることながら、古き良き時代のツール・ド・フランスや街並みの描写が『アメリ』で批判された古き良き時代のフランス“箱庭”と類似する。いや、もう、ジュネうんぬんよりも国民性なのだろう。 横断歩道のクダリなんかは抱腹絶倒したのだが、考えてみれば、まるで北野武映画のギャグシーン。なるほど、北野武がヨーロッパでウケる理由はこんな所にあるのかもしれない。

どうよ、この船や街並みの造形。どうよ、この観客もドン引きするほどのブラックジョーク。どうよ、この世界一ユルいカーチェイス。どうよ、この感動もヘッタクレもない再会シーン。どうよ、このバカ犬っぷり。 ストーリーだとか、実写と見紛うばかりとか、押しつけがましい感動とか、全然まったく一切関係なし。

動いてる絵を見ているだけで面白い。

これこそアニメーションの本質ではなかったか。 商業主義に流される以前のツール・ド・フランスが象徴するように、この映画は商業主義以前の“アニメーション”本来の面白さを体感させてくれる。

2004年最後の最後で差し切った、私のブッチギリ年間ナンバー1映画。

(評価:★5)

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