[コメント] Mr.インクレディブル(2004/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
以下、「スパイキッズ」のネタバレを含みます。
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個性豊かなインクレディブルファミリー。 重量挙げの選手と新体操の選手が結婚して、短・中・長距離万能のスーパーランナーと合氣道の達人が生まれるようなものですね。 ありえないっす(笑) ダッシュのキャラは、ファンタジー作品「バロン」の韋駄天バートホールドが入ってますね。「バロン」でバートホールドが砂煙を上げながら走る姿も印象的だが、ちびっ子のダッシュが「ぴゅーん」と走る姿も見ていて気持ちがよかった。
また、家族愛を唄うヒーローもののあたり「スパイキッズ」的な感じもするが、ちょっと違う。本作では悪役は改心せず、大人“も”活躍しまくる(蹴る、殴る、壊す)点、「スパイキッズ」シリーズとは好対照。スパイキッズでは親の活躍は意図的に省略されていましたね。その意味をロドリゲス監督は重々承知していた。
確かに映像的に、力技で決めたと思ったら、ぼよ〜んとしたり、一直線のターボエンジンが掛かったと思ったら、静止の球体バリヤを描く。 こちらのほうがワクワクしたのは事実です。
しかし、テーマはスパイキッズのほうが明らかに純粋だ。 仮にざっくりと性善・性悪説に分類することを許されるならば、本作は性悪説に基づいていると言えるだろう。 悪者がいるからヒーローは活躍でき、ヒーローが遣り過ぎるから人々はそれを禁じる・・・。
つまり、本作では「相手を懲らしめる」か「相手の活動を禁じる」ばかりで、「誰も相手を許そうとしていない」のです。この点、大団円で終わるスパイキッズと明らかに異なる。私はスパイキッズのほうがテーマとして素晴らしいと思う。子供向けなら尚更だろう。
また、本作の悪者は登場人物の中では一番現実の世の中にいそうなタイプなわけで、科学の才能に恵まれた設定は置いておいても、ヒーローに憧れて、自作自演をしてしまう“子供のような”大人は、これまでもいただろうし、これからも現れるだろう。それが殺人などの凶悪犯罪につながることもあるかもしれないが、その人を打倒して、めでたしめでたし、で終わりとしていいのだろうか? 元々はヒーローに憧れた純粋な子供だったのに・・・。 ちょっと考えてみたい。
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