[コメント] X―MEN ファイナル ディシジョン(2006/米=英)
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あーあ、ガキのマンガになっちゃった。というのがこの三作目の感想。
大の大人が真摯に演じる荒唐無稽な世界、しかし本質においては現実社会の矛盾を映すパラレルワールドというところが1,2作目の魅力だったのに。
キュアに対する真摯な考察が全くないのが許せない。
序盤マグニートーがミュータントを煽動する際に、キュアによるミュータントの能力への「根絶」がミュータントそのものへの「虐殺」にすり替えられたが、その根拠が示されることなくミュータントが対人類戦に賛同を示す。なんで?
百歩譲って、追い詰められたミュータントがトチ狂って闘いに走ったと解釈するとして、今度は人類対ミュータントとの戦いで、X-MENがマグニートー率いるミュータント軍団と闘う理由がない。ミュータントへの恐怖を感じた人類は、いくら助けられたからってやっぱりX-MENごとミュータントをキュアで根絶するでしょう。人類の暴力への動機を分かっていない。
だいいち、ウルヴァリンはただのミュータントではなくて、驚異的な自然治癒力というミュータントとしては受け身な特殊能力を利用されて、内骨格をアダマンチウムで補強するというむちゃくちゃな改造ミュータント手術を受けているわけで、キュアなんか打ったら生体拒絶反応が起こってまず死ぬでしょう。普通に考えたら素直に人間側につくわけがない。
結局、X-MENは深い考えも苦渋の決断も何もなく、自分たちが人間側のヒーローであるという設定故に、コンピューターがコードを解釈して実行するように、人類のために闘っただけだった。
X-MENが守ったのは人類じゃなくてマーベルユニバースにすぎないんだ。あーがっかりだ。失望したよ。
監督も脚本家も変わってある程度は覚悟していたものの、こうも台詞もストーリーもむちゃくちゃになるとは。せっかくファムケヤンセンが二重人格の役を与えられて演技力の要求される見せ場が続くのかと思ったら、フェニックスの活躍シーンなんて『帝都物語』を思い出して笑っちゃったよ。ハルベリーだってせっかくのアカデミー女優が赤塚不二夫のカメラ小僧だぜ。1,2作にあった独特の緊張感はまるでなし。
二作目の感想に、ようやくティムバートンのバットマン以来の秀作が誕生したと書いたけど、最初の二作を最後にガキ向けになるところまで継承しなくてもいいのに。
これじゃあエグゼビア教授も浮かばれまい(だからエンドロール後のシーン?)。
合掌
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