[コメント] 善き人のためのソナタ(2006/独)
描かれている「状況」は非常に興味深いものだし、心打つ美談であることは認めるが、あまりにけれん味が無さすぎる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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原題は邦題とは異なるそうですが、作劇上も重要な位置を占めるこのタイトルのうち、制作陣の関心は「〜ソナタ」の部分よりも「善き人のための〜」の部分にあったらしい。そのことはラストカットに如実に現れている。「善き人」を描くことに文句をつけるつもりは毛頭ないのだが、これが「盗聴」によりプロットを転がしていく映画であることを考え合わせればなお、「盗聴」と「ソナタ」の関係を映像表現としてもっと追及して欲しかった、あのように駆け足で後日譚をなぞることで上手にまとめるよりも、そっちの方に力を注いでくれれば…と自分などは思ってしまう。
オープニングから、尋問術の講義〜劇場〜打ち上げダンスパーティ〜盗聴器の設置…と続く一連のシーンは緊張感あふれる画面の連続でかなり期待させられたのだが、いざ盗聴が始まって以降は平板に陥っている感じがした。冒頭でヴィースラーにあれだけ尋問のプロとしての人物造形を与えているのであれば、彼がクリスタを尋問せざるを得なくなるシーンの演出にはもう一押しの工夫があってもよかったのではないだろうか。
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