[コメント] ダイ・ハード4.0(2007/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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前作『ダイ・ハード3』(1995)から実に12年ぶりとなる“死ににくい奴”続編。本当に久しぶりだが、もう中年を過ぎて老境に入ろうとしているウィ リスがどんなアクションを見せてくれるのか?同じく老境に入りつつあるスタローンが『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006)で素晴らしい演技を見せてくれたこともあり、半分期待、半分失望覚悟で観に行ってきた。
しかし、これは期待以上の出来をしっかりと見せてくれた。こういう作品にたまに出会えるとほっとする。
実際とても面白かったのだが、それは何故?と改めて考えてみると、実は観た直後はよく分からなかった。実際本作は単に派手なだけでストーリーは一本道の単純なもの。いくら何でもあり得ないという“死ににくい男”の姿も、まさかここまで死なないってのはやりすぎ。って感じもあり。
しかし、改めて考えてみると、本当に本作の物語はパターンそのもので、二昔ほど前のバディ・ムービーをそのままやってしまっただけ。それでどこが面白いんだろう?
バディ・ムービーの特徴は、凸凹コンビが基調で、無茶苦茶な先輩に引きずられる新米が、やがて抑え役を脱し、自分の個性を見せるようになる。と言うパターンで、本作ではジョンとマットの関係はまさにそのまんま。このパターンはいくらなんでも古い…と思ったところで分かった。
そう言えば第1作目の『ダイ・ハード』(1988)が凄く面白く感じたのは、実はその当時でも古くさいヒーローをウィリスが演じたからだった。当時はスタローンやシュワルツェネッガーのような超人が真っ正面から敵に突っ込んでいって、ラッセル車のように力押しで敵をなぎ倒していくというパターンの中、限られた状況の中、考えながら行動していくヒーロー像がそこにはあったのだが、これは1960年代あたりのヒーローってのはこう言うのが多かった。実は丁度二回りほど前のヒーロー像を出したお陰で、逆にそれが新鮮だった訳だ。
それで考えてみたら、バディ・ムービーが華やかだったのはまさに丁度20年前の1980年代だった。丁度二回り前のヒーロー像を新鮮なものとして作っているのが最大の特徴だったのか。昔と違い、今は悩むヒーローばかりだから、逆にこういった筋肉馬鹿みたいなまっすぐなヒーロー像を求めている時代だったんだな。
そうすると、本作は4というタイトルが付けられているが、実質的には本当に『ダイ・ハード』の20年ぶりの続編だったのだ。それが理解できたらなんかほっとした。
演出も確かにCG多用ではあるものの、人間が肉体使ってアクションしてる。って事を徹底的に強調しているため、どんどんボロボロになっていくジョンの姿が良い。人間なんだから当然怪我をしたらすぐに治るはずはない。当然話が進むに従って満身創痍になっていく。その痛々しさも最近のアクション作品ではあまり感じられない強調点だから、とても新鮮(に、しても死ににくさは超人レベルであることは確かだが)。
心配していたウィリスも、充分すぎるほどによく動いていたし(流石にアクションシーンでは顔映してないシーンが目立ったものの)、オロオロしっぱなしのマット役ロングも相棒としては申し分なし。それにかなり気に入ったのがジョンの娘役ウィンステッドの存在感。まさにジョンの娘!ってのがよく分かる気の強さで、登場こそ少なかったが、個性を充分見せつけていた。実は彼女の存在感が、続編を期待させてくれてもいる。
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