[コメント] ノーカントリー(2007/米)
だから壁を作って、国境をはっきりさせよう、ってトランプが言うんじゃないか? そして少なからずの人々が支持するのではないか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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水那岐さんの言われるところの「人境」の断絶。ここでもやはりコーエン兄弟の問題意識はぶれない。すなわち「世の中はままならない」のだ。
そういうコーエン兄弟の観念的なテーマと、それとメキシコというリアリティ。ある種の短絡的思考が、人境の恐ろしさを防ぐために国境を作ろう、それも目に見える形で国家を壁で囲うことでカントリーに輪郭を与えるのだ!…そういう恐怖感がテキサスやカリフォルニアやサンディエゴやマイアミのようなもともとメキシコだったあたりには地続きの恐怖として根深くあるのではないか。だからこそ、この作品はフォークロアの前提となり得る。
この映画は、異界の国と隣り合わせなゾーンで次々起こる異形なものの跋扈する民俗説話集のイメージを、一人の殺し屋を軸に一本の話としてまとめたもので、説話集だから結論はなくていい(むしろないほうがいい)し、イメージを楽しむだけのものでいいし、最後は老人の不思議な話で幕を引いていいのだと思う。
コーエン兄弟が従来型のストーリー形式ではないのに不思議な魅力にあふれている都市伝説や民間伝承みたいなものの形で娯楽作品を作ることに関しては、間違いなく強い信念を感じている。
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