[コメント] 崖の上のポニョ(2008/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
(「トトロ」と「千と千尋」のネタバレもでてきますので、ご注意ください)
釣られてみようか。リサ(彼女は母親である)が、大雑把でした。津波で危険な海道を車で突き進んでいきます。傍らには五歳の息子。一人で死んでくれ(笑)と突っ込みたくなりますが、これくらい豪快な性格だからこそ、金魚の女の子がやってきても気にしないのでしょう。そもそも、息子は両親を呼び捨てにしていますが、まあいいでしょう。
たいへん驚いたのは、嵐で危険なさなか、五歳の子供を家に置いて、足の不自由な老人を助けに行ってしまうことです。宮崎監督作品で描かれる「親」というのは、ときどき型破りですが、そのどれとも違う育児放棄っぷりでした。「トトロ」の父親は、子供の危機に最後まで気づきません。「千と千尋」の両親は、千尋を置いてきぼりにして、理性を捨ててしまいます。まだ、これらには余地があるように思いました。本作では、もう危険真っ只中であるのに、捨て置いてしまう。むごいです。
捨て置かれたせいで、子供だけの冒険にでるための装置が完成しますが、親子関係を考慮するとヘボい気がしました。冒険目標が、行方の分からなくなった母親探しですし。
私が、子供向け映画で、冒険に行く「子」と送り出す「親」の関係で上手いなあと感じるのは、映画版「クレしん」シリーズとかです。しんのすけ5歳は、やっぱり冒険をします。でも、両親は、ギリギリまで子供の傍らに居ます。案外、ちゃんと見守っていて、その上で冒険に送り出す決意をしますね。親が責任を果たしつつ、子供だけの冒険も描けています。この装置を毎回やってのけます。
何が正しいとかないですけど、うーん、一大事業になってしまったジブリで「悪の見本」をやるのは気持ちが良くありません。あからさまに釣っています。親の義務を放棄した一つの事例と、たわいの無い多数の事例をごちゃ混ぜにして、議論し選択させようとしている。夕食がチキンラーメンなのは?はい、問題ありません。じゃあ、嵐の中に人助けにいってしまうのは?これは不味いと思います。たった一つの失敗です。ってことを批評家がしたり顔でしてくれたとしても意味が無いのです。
あ、そういった意味で、ポニョ父は、真人間でした。人間やめた人なのに。けっこうキモいし目の下のクマが。作品の冒頭、クラゲや簡単な作りの生き物がふえていく。原初の海だ!とすぐに分かりました。そしたら、その生命を操っているような液体を振り掛けている。え?神様??いや、これ人間だ。キメェェェェと引きました。この人物こそ、ポニョ父。娘が彼氏のとこ、いく〜♪ってごねるので引き止めようとして、ちから水を飲んでパワーアップしたポニョ父。それ、ドーピングじゃん。といいつつ、ステレオタイプな普通な人。
宮崎監督に釣られたかんじでした。負けました、わたしは。
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