[コメント] 百万円と苦虫女(2008/日)
世間には苛める人間と苛められる人間だけしかいない。無関心を装うものたちは、既に苛めるほうの側にカテゴライズされているのだ。その中で情けや愛の出まかせに心を揺らすことなく、わが道を行く姉弟。彼女らにこそ人間の成長というものは備わっていくのだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ラストが秀逸である。タナダユキは実に真摯に人間というものを見つめている。微罪であれ、人が前科者であるだけで人間を冷淡に扱うのは、桃農園の村で若い蒼井優を村おこしのアイドルに祭り上げようとした心理の裏返しだ。そして愛情も信ずるに足りない。森山未來の姑息な手段で繋ぎとめられるほどに現実は甘くない。それを知るからこそ、追ってきた男を冷たく見下げながら、苦虫女は「ま、来る筈もないか」とハッピーエンディングを振り捨てるのだ。このラストは女性にあらずば描けないものだろう。タナダの今後がますます見逃せなくなってきた。
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