[コメント] バーレスク(2010/米)
視覚的には下品きわまるが、語りの姿勢は潔癖だ。ちゃんとバンドをフィーチュアしているのも好ましい(バスドラムがドカドカうるさくていい)。ささやかながら伏線を回収していく快感もある。最終曲は客席などフロア全体を使った演出で、ステージ物が陥りがちな空間の貧しさを克服する努力が認められる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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バンドをフィーチュアしているという点も含めて、各作中人物への配慮に好感が持てる。クリスティーナ・アギレラは時おり不美人に見えてしまうカットがあるのが残念だけれども、全般にはとても可愛らしく演出されている。彼女が恋愛対象として気になってくるあたりから漂うロマンティック・コメディの気配もカム・ジガンデーがよく演じている。個人的に懸念していたシェールには金策に追われてテンパっているという設定が与えられ、無理からに「善人」を造型しようとしていないのが却ってよい(シェールがアギレラの精神的母親としてはっきり示されるのがメイキャップ指南のシーンだけであるというのは物足りないと見るか。節度が利いていると見るか)。ゲイを演じているスタンリー・トゥッチはジガンデーに「チャンスはそう度々ないよ」と忠告するが、当のトゥッチの私生活にまでその台詞が返ってくる幸せな結末を用意していて、ここまで来るとさすがにちょっと感心してしまう。憎まれ役のクリステン・ベル(ちょい星野真里似)は怒りや不機嫌の表情にもいじらしさが滲み出ている。この憎みきれないところが彼女にまつわる終盤の展開を正当化し、また観客にそれを受け容れさせることになるだろう。音響・照明係を無視していないのも誠実だ。ただし、同僚のダンサーたちにはもう少し物語上の見せ場を与えてもよかったかと思う。
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