コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 海炭市叙景(2010/日)

5つのオムニバス映画であります。すべてが虚無的でもあります。生きることの空しさ、哀しさが切実に伝わってきます。話のすべてが身近です。どこにでもあるような話がかえってリアルです。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







でも、こんなに寂しい、厳しい映像なのに、どうして見終わった後いつまでも糸を引いているのか、、。

ひょっとしたらこれが映像文学というものなのかもしれません。そう、この映画には文学のタッチがあります。人間の営みを、どこにでもある町の風土に定着させ、それでも人は生きていかなければならないと教えてくれる心に沁みわたる映画です。

でもそれだからこそ、題材も、テーマも、観客に伝わる映画のチカラも、まさに現代的だと言えます。日本的でありながら、北欧のカウリスマキ風タッチの映画でもあります。好きだなあ、この映画。

5つの挿話で一番印象的だったのは加瀬亮の、キーンという音が聞こえそうなほどのまさに男の演技です。特に嫁さんを殴るシーンはすごかった。自分のせいでこうなっているのを分かりながら、どうしようもない男の気持ちが色濃く出て、出色の出来。

それと5話目。5000円から幾ら取るのかなと心配したけれど、8000円は女性の数からしても安心価格。この辺り、現地への思い入れも実は入っているところもミソ。

2011年がこの映画から始まったことを僕は誇りに思えます。今年もたくさん映画を見られる気がしてきます。映画の無限の可能性まで感じちゃいました。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)緑雨[*] まー[*] 水那岐[*] ジョニー・でぶ けにろん[*] ぽんしゅう[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。