[コメント] 桐島、部活やめるってよ(2012/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
「希望こそが絶望を生じさせる」という『ダークナイトライジング』で描かれた深遠なテーマをまさか本作で突きつけられるとは思わなかった。
あの教室でそしてあの屋上で東原(橋本愛)のあの目線を正面から受け止めた前田(神木隆之介)の絶望がお前らにわかるか?映画館での目線を信じた自分に「天罰」が下る感覚がお前らにわかるか!?信じていたくもの糸が目の前でプツンと切れる様を見る絶望がお前らにわかるかーっ!?
そりゃそうだよ。タランティーノの作品で何が好き?と聞かれて「人がいっぱい死ぬやつ」なんて答える奴は映画好きじゃないよ。普通に考えりゃわかるよ。でも、その映画館でかかっていたのは、よりによって『鉄男』だよ。誤解するなって方が無理だろうよ。
その子がスクールカースト的にもナードではないがジョックとも言いづらい微妙な位置にいる遊び人とつきあってんだぞ?こんな悲しい展開があるか?それが青春だって、ふざけんな!天は我を見放したか!おぉ、こいつら全部食い散らかせ!ロメロの『ゾンビ』ぐらい常識だ!バカヤロー!(だから想像上とは言えゾンビが東原の肩を食いちぎるシーンでは前田には笑ってほしかったんですがね。「良い画が撮れた」って顔をして。)
というように、感情移入してしまったですよ。もう、高校時代を過ごすまでと同じぐらいに年を重ねた今となっては、スクールカーストの滑稽さも含め、それを笑えるようにはなっているが、そのころの自分を思い出して、終演後は源泉不明の充実感に満たされた。
青春映画というようにカテゴライズされる作品は少なくないが、平成青春映画の代表作として本作を置いても良いのではないかと思う。いいんだよ。学生時代は今を楽しみなさい。あらゆる意味で勝負がつくのはまだ先の話だ。
(2012.8.16 シネプラザサントムーン)
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (9 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。