[コメント] リップヴァンウィンクルの花嫁(2016/日)
恐ろしいし話だ。まるでホラー。オモテとウラなら違いも自覚できるだろう。「オモテのようなウラ」に翻弄され、気づかぬうちに「終わり」の一歩手前まで行ってしまう話だ。例えばオモテとウラとは、うぶと打算。無自覚とシステム。善意と計略。つまり世間のことだ。
世間に渦巻く「オモテのようなウラ」とは、人の無邪気をもてあそぶ計算づく、人の無自覚を突いて取り込んでしまうシステム、人の善意を実利に変換する策略のことだ。自立手段が確立できない七海(黒木華)は心地の良さに流されるように、自己評価が確立できない真白(Cocco)は存在そのもので善意にむくいるために、「オモテのようなウラ」に身をゆだねる。
人の弱みや心の隙は「優しさ」という「寛容」となって互いを引き寄せ合うものだ。弱みをかかえたま「寛容」の心地よさに身をまかせたとき、いつしか日常のオモテとウラは混濁し、世間に身をひそめた「オモテのようなウラ」が忍びよる。これは限りなく現実的なホラーだ。
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