[コメント] 真実(2019/日=仏)
映画製作を舞台とする映画で、映画の真実性(それは人生の真実性とも云える)についての映画。真実と嘘。陸亀・ピエールは、ジュリエット・ビノシュの父親ピエール(カトリーヌ・ドヌーヴの前夫)が来た時点でいなくなる。
翌朝、ビノシュの娘シャルロットが亀を見つけるが、ビノシュの父親は消えている。これは寓話としてはいいが、ドヌーヴが、ビノシュの父親は昨晩帰った、と観客に明かす。これって、この監督らしい説明的描写だ。単に、亀があらわれ、ビノシュの父親は消えた、でいいじゃないか。
あるいは、ラスト近くのシャルロットとドヌーヴとの会話。「宇宙船に乗って欲しい」「なぜ?」「自分が女優になるのを見てほしいから」。このやりとりも台本だったと種明かしする、ビノシュの科白も説明的だ。それに、シャルロットが、「これって真実?」と云って暗転する、こゝで、エンドが良かった。
本作も暗転が全編で3回ぐらいと思うが(今回は仔細にカウントしていなかったが)、やっぱり、全部、暗転しなくて良いと思った。
ラストは、皆で、パリの空を見上げる俯瞰カット。シャルロットが(カメラに)相対して写真を撮る。これもメタ的に映画の真実性を軽く突きつける演出だ。
正直、是枝の仕事は大したものだと思うが、何よりも、4人のスター(ドヌーヴ、ビノシュに加えて、イーサン・ホークとリュディヴィーヌ・サニエ)だけでなく、登場人物が皆、いい顔をしているところがいい。中でも、マノン役のマノン・クラヴェルが、とりわけ撮影シーンで美しい、というのがいい。
#楽屋落ち的科白の中でも、特筆すべきは、ドヌーヴがBBを揶揄する科白(と表情)。
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