[コメント] 未知との遭遇(1977/米)
一三七分版。いまだ『シンドラーのリスト』とこれが撮影におけるスピルバーグの最高作だ。光に溢れた鮮明な画面は必ずしもヴィルモス・ジグモンドの資質に最もふさわしい造型ではないだろう。だがこのルックが私には堪らないのだ。別班・追加の撮影者たち(錚々たる顔触れ!)もすばらしい仕事を残している。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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語りの説明不足やいかがわしさなど取るに足らない。なぜリチャード・ドレイファスらは「山」の形状にとらわれるのか。どうしてあの五音でコミュニケーションが図られるのか。その意表を突いた着想の豊かな魅力に比べれば、理屈の行き届かないことなどどうでもよい。ドレイファスやメリンダ・ディロンはむろん、フランソワ・トリュフォーをはじめとする科学者・技術者たちにしても、事態を正確に理解している者はひとりもいない。わけを分かっていない、しかしどこか確信に満ちた彼らの表情こそが感動的なのだ。それがほとんど「狂気」に近似したものだとしても。だからスピルバーグのフィルモグラフィで最もホラーに接近したドレイファスの家庭シーンもことごとく面白い。これはスピルバーグとしては異例と云ってもよいほどに感動的な「顔」の映画である。
また、ダグラス・トランブルの貢献は当然無視できぬにしても、「遭遇」シークェンスにおいて「光」と「音」のシンフォニーを奏でようとするスピルバーグの志向の映画性こそ認められなければならない。母船が常軌を逸した巨大さであるというのもまったく正しい(「常軌を逸した巨大さのUFO」という一点のみをもって、私たちは『インデペンデンス・デイ』を積極的に評価しようではありませんか!)。
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