[コメント] ゴースト ニューヨークの幻(1990/米)
一言でいえば、プロットが素晴らしい。アカデミー脚本賞は、この脚本のもたらす“感動”に与えられたのではなく、無駄のない巧みな筋運びに対して与えられたのだ。
小道具やセリフの使い方もうまいが、一番はファンタジーにおけるルール設定の仕方。ファンタジーだからといって何でもアリでは困るわけで、自ずとルールは必要なわけだが、ゴーストになったばかりのサムが、霊界のルールがわからなくて驚き戸惑う様子を描きながら、観客にもルールを教えていく、というその教え方が実に無理がなく上手い。後半ではそのルールを逆手にとって奇跡を起こしていくわけだが、まるで手品の忠実なお手本を見せてもらってるような感じだ。ファンタジーでここまで成功している例は他に観たことない。
もちろん、感動もふんだんにある。特に役者が素晴らしく、パトリック・スウェイジは始め(デミ・ムーアには不釣合いな)不細工に見えるが、しまいにゃかっこ良く見えてくるし、デミは、あのうるうるした瞳と半開きの口で泣かれるとこっちまでジーンと来て、しまいにゃ彼女が泣くだけで自動的に涙が溢れてくる。ウーピーはほんとに芸達者で冴えまくってるが、特筆すべきは(ちょっと彼女には失礼かもしらんが)手がマジですっごい綺麗!(どのシーンで綺麗な手が見られるかはお楽しみ)
まあファンタジーだから荒唐無稽は多々あるけど(幽霊なんているわけないし)、そのくらいは軽く飛び越えてほしいところだねぇ。比喩の名手、スティーブン・キングがこう言っとったよ。「大人になると、想像力という名の筋肉が衰えて、常識という名のバーベルを頭上に持ち上げることが出来なくなる」ってさ。あなたの想像力は大丈夫かい?
90点/100点(00/12/13)
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