[コメント] 飢餓海峡(1965/日)
たった一夜の出来事であったとしても、忘れられない男がいる女は幸せ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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忘れられない男がいる。たとえこの先、二度と会う事がないかもしれぬが、それでも同じ空の下で男は生きている、そう思うだけで、それだけで生きてゆける。そんな体験ができた女は幸せ。
重厚で、それでいて大変に理解しやすい映画である。三國連太郎、左幸子、伴淳三郎、これら登場人物の誰に思い入れても、何度でも観られるし、戦後の混乱、洞爺丸の事故など史実としても面白い。
それにしても後悔されるのは三國連太郎である。10年ぶりに左幸子が訪ねてきた時、動揺せずに自分の立場を説明し、お礼だけ受け取れば、彼の幸せをあれほど願った彼女の事、納得して大人しく帰っただろうに。いや、それは、映画を観ている私たちだから思える事か。三國連太郎に、彼女の目的が分からずとも無理はない。強請りにきたのか、脅しにきたのか、たった一度関係しただけで家まで押しかけてきた娼婦の姿は、彼の目には過去を掘り返される化け物のように映ったに違いない。
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