コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ゲームの規則(1939/仏)

完璧だ。映画のお手本だ。しかし余りにも名作然としていて驚いた。例えば『市民ケーン』にしても『2001年宇宙の旅』にしても決して名作然とはしていない。
ゑぎ

 それにしてもだ、デュヴィヴィエやカルネとの相違はほんの些細な部分でありまた決定的なのである。そしてそれを批評にする、というアンドレ・バザンや続くヌーベル・バーグの作家達の行為はいかに繊細なものか、ということだ。

 野鳥や兎をあれだけ殺すという行為(演出ではない)は、黒澤明が『影武者』で馬に睡眠薬を投与した行為よりも非難されて当然のはずなのだが、両者の演出的効果の隔たりの大きさはどうだろう。馬ののたうちまわる映像の不快感に比して、この狩りのシーンの心を揺さぶる悲痛な美しさ。フィルムに定着した完璧な運動と停止。それがラストへの伏線となった時、誰がルノワールを非難できよう。ルノワールもあの狩りのシーンを尋常な気持ちで撮れた訳が無いのだ。どうしても撮らなければならなかった。それが映画作家というものなのだ。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)irodori[*] 動物園のクマ[*] モノリス砥石[*] 寿雀[*] crossage ジョー・チップ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。