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[コメント] 鬼畜(1977/日)

子供の眼、能登の夕陽、全てを見透かすような美しさに見据えられて、男はただ、泣き崩れる。エキセントリックさの中に宿る、繊細な感情、心の機微を、取りこぼすこと無く救い上げる野村芳太郎の手腕に、今更ながら恐れ入る。徐々に登りつめ、一気に下降する、東京タワーのシーンは圧巻!
町田

手回し自動演奏オルガン(ストリートオルガン)を使った芥川也寸志の音楽が実に印象的で、それが物語と画面から伝わるやるせなさを、無限に増幅させている。

芥川氏はこの音色を得る為わざわざ渡欧、現地の職人の掛け合って、オルガン用紙テープを作成したとのこと。東欧風の物悲しい4拍子から、変拍子、遊園地っぽいワルツへ流れる独特の展開も、「打楽器を使わないリズムだけの曲を作りたい」という、兼ねてからの目標を具体化したものだそうで、その意味からも本作を、映画音楽家芥川也寸志の最高傑作、と言い切ってしまってよいのではないか。少なくとも私は、この音楽が死ぬほどに大好きである。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)動物園のクマ[*] 死ぬまでシネマ[*] 3WA.C[*] けにろん[*] ジョー・チップ[*] sawa:38[*] ぽんしゅう[*] Myurakz[*]

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