[コメント] 太陽の帝国(1987/米)
この映画を観た時、スピルバーグがオスカーを手にするにはあと10年かかると思ったが、6年で獲ったのね。
『E.T.』でその童話作家性が開花したスピルバーグが、その後、超娯楽路線とオスカー欲しい路線に二極分化していることはこれまで連綿と述べてきたが、本作はそのオスカー欲しい路線に位置づけされる作品。
本来、オスカー欲しい路線について語るなら、最初の『カラー・パープル』か受賞した『シンドラーのリスト』のレビューで語るべきだが、ほとんどの彼の監督作品を観ている私が、この2本と『アミスタッド』だけ観ていない。ビデオで観ればいいのだが、友人知人の「くだらない」「時間の無駄」の大合唱の前に恐れをなして未見のままなのだ。
「シンドラー」で受賞するまで、彼の描いてきたこの路線は「黒人」「戦時下の子供」「飛行機乗り」。 他の作品と比べてみよう「宇宙人」「鮫」「冒険家」「恐竜」。この二つの路線に何の違いがあると思う?実は無いのだと私は断言する。
「ここで恐竜が暴れたら面白いだろうな」というのと「黒人の話だったら感動するだろうな」というのは、共に単に想像上の人(動)物という事において全く同次元でしかない。身体の底からの衝動ではなく、小手先の技術で人物を描こうとしているのだ。その技術が勝っているだけに始末が悪い。さらに言ってしまえば、その血にディズニーが流れている分「宇宙人」の方が上手く描けてしまったりするのだ。
そしてやっと「ユダヤ人」に触れてオスカーを手にする。そう、彼の中に本当に流れるユダヤ人の血がオスカーを与えたと言っても過言ではなかろう。
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