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[コメント] メリーに首ったけ(1998/米)

バカバカしさに笑いながらも、見終わってふと我に返る。「・・・これはかなり辛らつなヤジ飛ばし映画?」
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







とりあえずキャメロン・ディアスの可愛さをこっちに置いておこう(それじゃコノ映画成立せんよって人も多いとは思うけど)。男性不信になるような過去と、愛すべき障害者の弟を持った女の子が、セックス・アピールなんかと無縁で障害者に妙になつかれる男と一緒になっただけの話では?ハッピー・エンドはハッピー・エンドなんだけど、キャメロン・ディアスみたいな可愛い子をサエない男がゲットしたということだけで、もうとってもステキな話に思えてくる。そこで監督はキャメロン・ディアスに首ったけの観客にヤジを用意する。もちろんあの恥ずかしいような幸せのBGMを奏でる男を撃ち殺すシーン。「奇跡的なハッピーエンドなんて思っちゃいないかい?くっつくべき男がくっつくべき女とくっついたダケの話だよ!」。

出てくるみんながみんな、どっかおかしい部分を持っている。もちろんメリーも例外じゃない。結婚相手をまずは外側の部分(しかも歯が白いとか、ネパールに別荘持ってるとかかなりクダラナイ)で判断するし、「ハロルドとモード」好きだし(コレ見たことないけど、使われ方からしてコレもヤジなのでは?)、etc・・・。他の人間も然り。そんな人間たちと障害者やマイノリティーの人たちが入り乱れてると、自分がフツーの一般人だと思ってる人間ほど、他と自分を差別化するように、手厳しく障害者やマイノリティーに辛くあたる。

可哀想?トンデモない!そんなこといってる奴らほど、手痛いしっぺ返し受けてるし、自分のオカシさ加減を暴露しまくってるじゃあないか。差別化しようとして、失敗してるとしか思えない。障害者もマイノリティーも、この映画のなかではとても幸せそうにしか見えないよ。その点メリーって子がイイと思ったのは、多分彼女は自分のおかしさ加減を無意識に感じとっているんではないのかなぁ、と。だからヘンな弟とかサエない男とかを、自然に受け入れられちゃったりするような気がする。無意識だとは思うけど、差別化する必要を感じない子なんだろうなぁ、と。

バカバカしい笑い満載だし、差別発言飛び交いまくりなんだけど、意外と監督サンの目は冷静なんでは?なんて、考えれば考えるほど真っ当な話の展開を見ながら思ったワケです。観客と一緒に笑いつつも、さらに別なとこからも観客の方を見て笑ってるような気がするなぁ。自分もノセられたクチですが・・・。

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ご投票いただいた方、申し訳ございません。この監督の身障者への接し方が端的に表れてる部分について、どうしても書き加えねばと思い、ちょっと付け足しさせていただきます。

エセ身障者のピザ男がカギを拾うべく悶絶奮闘するシーン。あれは、自分は一人でなんでもできると、勘違いしている身障者(この身障者がエセというとこがまたキーになってるような気がする)とそんな身障者を見て、特別視しながら賞賛している輩への、手痛いブーイングなのでは?支えられたり迷惑かけてる事をつい忘れて、完全一本立ちしたような気になりがちなのかなぁって思ったりする。

自立心や向上心も大切だけど、自分が身障者だってことに、どれだけ正面切って認識できるかってことも大切なんだろうな、と。そしてこの映画の人間を見てると、身障者に限って人間的に欠陥があるワケじゃなくて、人間だれでも欠陥だらけの存在だってことを認識させられる。だから監督が言いたいのはこんなことでは?「必要以上の賞賛や同情だって一種の差別になり得るワケで、大切なのは共存すること。欠陥だらけの人間同士自分の至らなさ加減を認識して、お互い楽しくやってけば、差別問題なんてノー・プロブレムさっ」。実際メリーもテッドも、ケアするってこと以上に楽しそうに弟に接してるし。

まあ自立心や向上心をとっぱらってしまうのもどーかとは思うけど、確かに監督サンみたいな考えを少しでも念頭におけば、差別は減ってくのは事実。バカやってるようで意外に身障者とかマイノリティ問題について、マジメに考察している人達なんですナ。

(評価:★4)

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