コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 永遠と一日(1998/仏=伊=ギリシャ)

自分の恋敵が「芸術」というのは、女性にとってこれほどツライものはナイ。
ボイス母

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







少年は芸術の神が使わした、天国への道案内役。 死んでしまった(多分)妻は、自分にとっての「永遠」(愛)の象徴。 この相反する、それでいてホントはとても近しい場所にいる両者に導かれるまま、映画は進む。

しかし、その妻さえも、かつて(生きている頃のある夏の一日に於いて)は、夫の背負った「詩人」という業と共に夫を奪い合い、その愛を手にするためになら、その彼の存在意義たる「詩」そのものから彼を奪ってしまいたいと願った女であった。 この哀れさ。一途さ。 しかし、詩人はそんな事にも気が付かないまま、ウカウカと数十年を過ごして生き延びる。

残された手紙によって、初めて妻の心を知り、打ちひしがれる詩人。

それでも、言葉を紡ぎ、自分の人生に自分の生きている確かな感触と場所を得るために詩を作る。 そして、いつしか心は自分に残された一日から、あの「ある夏の一日」へと帰る。 妻は帰ってきた。 自分の詩作も終わる。 妻の元へ帰る。永遠に一緒にいるために。二人はもう、離れない。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (11 人)Santa Monica ぽんしゅう[*] ジャイアント白田[*] SUM[*] ペペロンチーノ[*] いぐあな G31[*] 埴猪口 kazby はしぼそがらす ina

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。