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[コメント] ザ・ハリケーン(1999/米)

憎むべきは・・・
mimiうさぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







デンゼルのあれ程までの肉体作りに感心した。40代の裸体と、現役時代の体が特殊メイクなしで作れる彼はただ者ではない!!

気迫が眼光に現れて何度もうるうるしてしまった。 『マルコムX』の時もそうだったけれど、一人の人生にはいろいろな時期があって、その時浮かべる眼差しや表情が違う。人が一生かかって無意識に作り出す表情を、彼は、1年の撮影期間に意識的に作り出したのだ。それは、彼の努力と才能に他ならない。改めてデンゼル・ワシントンに敬意を送りたい!!

本作では、ハリケーンを差別視していた人として「ペスカ刑事」が登場していたが、それは物語を分かりやすくさせるための創作人物であったと聞く。ペスカは、白人の代表であり彼のような偏見に満ちた者がたくさんいた事が問題なのだ。

よく、ハリケーンは「人を信じる事が出来た」事に注目されるが、私なりの解釈で言うのなれば、初めて(黒人の少年を通してだが)白人を信じる事が出来たから、いい映画なのだと。

アルシュさまも書かれている通り、ドライバーだった青年は彼を売ろうと思えば出来たがしなかった。その時点で、ハリケーンは、少なくとも人間不信ではなかった。白人不信だったからだと思う。

憎むべき相手を信じる、理解できる、それこそ素晴らしさの証なのではなかろうか?

彼は悟った。

憎むべきは「白人」ではなく、「差別に満ちた人間」なのだと。 そして、己も「白人」という大きな集団を憎む偏見者であった事を知る皮肉な結果があったのだ。

余談だけれど、とても印象に残ったのは判事役のロッド・スタイガー。体だけではなく、自然な表情と仕種に見とれてしまった。あの場面だけでいうと、完全にスクリーンを食ってしまった。デンゼルが場面の端っこに感じたのは始めて。さすが!

(評価:★5)

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