（文芸座で２度目の鑑賞後の感想）

２回目ということで、いろいろ余計なことを考えず、ずいぶんすっきり素直に見ることができた。この映画により近づくことができた、というか。そして、2000年／2001年という時代に、映画というジャンルの中で示すべきものをきちっと示せた人は、やはりこの人しかいなかったのだな、ということも改めて確認。

『EUREKA』は、何もかもが周到で、監督一人の力だけではとても到達できないような見事な作品であり、大勢で作るものとしての映画の贅沢さ（褒めすぎかも知れないけれど、アンゲロプロスの映画を見てうっとりするような）を楽しむことができた。例えば、（狭義の、というか文字通りの）ロードムービーを撮るには日本という場所はあまりにも障害物が多い国であるが、田村正毅のカメラと的確なロケハンがそれを軽々とクリアしていた、とか。参加した俳優も優秀だったし、過去の映画の亡霊も含め、この映画はかなりいろんな力に支えられてできている。それが全部巧く機能しているのだから、監督も立派な仕事を成し遂げたと言わざるを得ない。

個人的に好きだったのが、沢井が初めてショベルカーを動かすシーン。人が作業する動作をじっくり見せ、しかもそれが新しい行動を生むきっかけになっていく、というのをあそこでやった（しかも青山真治が）というのは、地味ながらなかなか泣けた。（ああいうのって、宮崎駿の映画では何度も見ているようなものだけど、実写でって以外とないような気がする。）

最後に。いろいろすっきりしたとはいえ、やっぱり一つだけつっこみたい。梢ちゃん、なんでいきなりET？？？？