[コメント] 東京マリーゴールド(2001/日)
原作は読まずに観た。映画を観終わってから思わず買って読んでしまった。私は(男のくせに?)林真理子の小説は結構読んでいる。文章が巧いから好きなのだ。
多くの男性や「この手」の話が苦手な方には分からないだろうが、様々なジャンルで似た傾向の作品を作る人が大勢いるが、林真理子は少々別格だと思っている。
例えば脚本家内館牧子の話はイヤらしいし狙いが見え隠れするし、さいもんふみは映像化すると何故かあざとい話になってしまう(そう言って家内は彼女らのドラマを観ない)。脚本家中園ミホはかなり林真理子に近いが、今度は私が彼女のテレビドラマを観たくない。 理由は「お前は俺の事を書いているのか!?」と疑いたくなるほど男の痛い所を突いてくるからだ。(身に覚えがあるから痛いのだと言われそうだが)
林真理子も同様だ。男の嫌な所、ダメな所に固執する(少なくとも私にはそう見える)内館作品より、総括的に怖いくらい男を描き切る(もちろん弱点も総て含めた上で)林作品の方が格段に上だと思っている。
女性が男のどこを見てどんな仕草に惹かれるか(男女逆の場合も)、そう思うに至る育ちや学歴や物の考え方や人生観が簡潔な文章の中に収められる。 だからナレーション無しには林作品の映像化は成功しないと思っていた。
ところがどうだ。ショットの切り取り方、表情等々で人物の感情や考えを表現してしまっているではないか。原作より主人公の設定は5歳ほど若い。主人公の女性の打算や小ずるさは映画には見受けられない。そして、男の行動理由の説明もされない。だが、分かるのだ。彼女や男の気持ちやプライドまでが痛いほど分かるのだ。
おっと、だいぶ書いてしまった。田中麗奈については誰かが誉めるだろう。
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