[コメント] GO(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
見に行ってるのもありますが、基本的に映画館にあまり足を運ばないで過去の映画を見る方が多い方です。去年公開されている映画は今の時期に見るんですね。そして時差があり今見終わった話題の日本アカデミー賞独占したこの映画『GO』が2001年度の邦画ナンバーワンだとするならば日本映画界は大変だ。ちょっと過激にJAROに引っかかるぐらいで言い換えるならば第二次世界大戦終盤の日本軍並の大変な深刻な弾不足だ。そう思えたのは同時に見た『陰陽師』が作用しているといえよう。
どんなに面白いのか好奇心でワクワクドキドキし、「あっ!あった!借りられる!『陰陽師』も借りられる!ラッキー!(目をキラキラさせながら)これだけ話題にもなってるし、絶対に面白いはずだ!行定って誰?まあ、盛り上がり凄いしきっと日本映画界期待の社会派監督筆頭なんだろうな行定監督って!」と果たして崔洋一映画よりも在日をリアルにとらえて映画に昇華しているのかと楽しみにしていたのを、延長後半13分、相手のヴィクトリーゴールで、ものの見事にうち砕いてくれました。見ていない人は崔洋一監督の映画を見て在日を取り扱った怪物映画最高峰を見るべし。『GO』と比べると、ヤムチャと完全態のフリーザぐらい違う!!!
私は、どこをどう見れば面白いのか疑問で全く分からない。窪塚洋介が出てたから?「在日」を題材にしたのであれば崔洋一監督の作品の方が様々な社会の裏事情を種々いれて行定勲監督より数段に素晴らしく「在日」を描けているし、人間臭さも遙かに上手く矛盾なく撮れている。崔洋一監督の映画がリアルで凄く怖くて面白いのは単に崔洋一監督が当事者である事だけではなく、社会の暗部を織り交ぜた全てを学んだ上でのタブーに真正面から挑んだ結晶なのだ。それと幻想系監督の下ではなく才鬼系監督の下で仕事しているかの違いも大きいかもしれない。師匠の影響はやはり大きい。
「えっ本当に脚本賞?」と思ったのって私だけ?ITバブル全盛の頃の光通信株の値のような脚本はホント凄いね。「木更津キャッツアイ」とか他を見てないしこれだけで言うのも問題だけれど、ちょっとクドカンって全く洗練されていないし話の構成が下手じゃないですか?『落語』を入れた理由も分かる、分かるけどそこで『落語』を象徴として終わらすのではなく、どこかに有名な小咄を入れるぐらいのテクニック出せよ!あるだろ!親子の小咄いくらでもあるんだからさぁ〜入れてよね。
と次に目についたのは正直、語ってばっかり。喋ってばっか。主人公に語らせてばっかり。これでもかって程、ピンチになると語らしている!ハラハラさせる場面ナッシング!まるで今で言うフェードアウト(レギラー番組減少)傾向が強いお笑いコンビ(?)とんねるず又はウッチャンナンチャンみたいなセンス!(言い過ぎ?)もしサイレントで見たら「何?何してんのこの人達?」となること必至。最初のバスケのシーンで皆にボール投げられるシーンは、確かにあるのかもしれないけど取って付けた様な展開で興ざめしてしまった。揚げ足とりみたいだけれど、すごく頑張ってるのは分かるが最初線路に投げ込んだカバンはどこへ?
監督さんも、いくらクリスマスで寄りを戻したからって安易に雪降りゃしゃあイイってもんじゃないでしょ。どうせならそこで、「ラストクリスマス」ぐらいBGMに使わなきゃ!小田和正じゃんそこは!ワムとか『ウォーターボーイズ』に対抗してフランスギャルとかしてくれなきゃ!!そして塚本晋也みたいなアナログテク全開な映像で疾走感を出そうとしたり、名作千円札だけでR指定になったと言われている『スワロウテイル』を撮った師匠岩井みたく恋愛を入れて民族の違いを痛感させようとしてみたりと、そんな演出とか見ていると「岩井俊二、林海象の助監督してたんだ!だから真正面から物事をストレートに描かずロマン溢れるジュエリーみたく若者に寄り添って描いたんだね!ところで桜井(柴咲コウ)の会うまでの苦悩は?そこで語ってどうするの?見ていたって言ってアンタ!」と桜井どうでもいいと感じ恋愛なしでは誰も見ないから入れてみたみたいに感じたのと共に感じたのは「チャレンジャー行定勲さん、今回の作品で2週勝ち抜きチャンピョン岩井俊二さん越えならず」byタイムショックとなってしまいました。
ファンの方には悪いですが、オヤジ(山崎努)を司令塔に置き、オヤジ軸にゲームを組み立て観客の心というゴールに向かってセリフと言う名のボールを進む展開より、展開やエンターテイメントはFCハリウッドの黄金のカルテット『起承転結』の方が(嫌いな映画とても多いですが)最高です。私的に2001年のベスト映画って実は浅い内容の仕上がりの『GO』じゃなく実は子供向けでもあるが子供向けではない、かと言って大人向けだとおもわせ大人向けでもない奥がブラックホール級に深い『クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』だと強く思う。
まだまだトレインスポティング+ファイトクラブな映画に色々言いたいが打ち止め割愛。2002.5.12
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