[コメント] 耳に残るは君の歌声(2000/英=仏)
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展開としてはやや不満が残る。映像も演技も素晴らしいのだが、アメリカへ渡ってからの展開が御粗末すぎる。他の方も仰られていたが、特にあの意味ありげに冒頭に流れる溺れているシーンは何だったのだろう?あれが後々に生きてくるのかと思いきや、一瞬で終了。まるで意味が判らない。冒頭にあのシーンを持ってきたのを忘れて話を進めてしまったかのように思える。
そして、アメリカに着いてからは別の映画のよう。イギリスの古びた空気にすっかり馴染んでいたリッチがアメリカのヤケに現代的な(むしろ現代そのものな)空気に悲しい程浮いてしまっている。その上、時間がなかったのか?とツッコみたくなる程唐突に終わられては別の意味で泣きたくなってしまう。ここまで映像が美しく、役者も素晴らしく、演出もいいのに、本当に惜しい。
特にジョニデとリッチの別れ際は名シーン。眠る彼女を抱き締め、1人声を殺して泣くチェーザーの姿には胸が締め付けられた。寡黙で伏し目がちな出で立ちといい、ジョニデは本当に上手い。そして、ジョニデの視線を静に受け止めるリッチも勿論いい。共演を重ねている2人だから、息もピッタリというところだろうか?ケイト・ブランシェットも、あの口紅は怖かったものの、青い瞳に映し出す切なさや絶望は胸を打つ。
役者の演技はどれも素晴らしいが、ただ、一応歌や舞台の勉強をしている私としては、リッチの歌はもっと楽しそうに、声を張って歌うべきだと思ったのだが…あれでは全然歌が好きそうに見えない。そこは少し許せなかった。
この映画は、あと一歩で名作になれたのかもな…とも思える映画。不完全燃焼さは残るが、素晴らしい部分も多々あるので高得点。できるなら3時間ぐらいでもっと壮大に完全版をお願いしたいところだ
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