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[コメント] カンダハール(2001/イラン=仏)

出口の無い砂漠の迷路。太陽だけが沈んでいく。(不謹慎→)
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







タリバン政権の存在を知らなかったら、あまりのシュールさに爆笑しながら観ていたかもしれない。

つまり映画には「同時代性」ってものがあるんだな(映画に限った話じゃないが)。

もちろん、国境も時代も(場所も時間も)超えて良い映画ってのは存在するのだが、ひとたび「社会性」を帯びると「映画は国境も時代も超えられない」というのが、実は私の持論なのだ。私が時々使う「頭では理解できても皮膚感覚では理解しきれない」という言葉はこの辺に起因する。

だから私は、あえてテクニック面にこだわろう。

ちょっと変わった構成だ。

後々のシーンが冒頭に提示される。この構成によって、観終わった後ぐるっと回って冒頭に戻ってしまったかの様な印象を受ける。これは明らかな狙いだ。この旅と、この国を端的に表現する迷路のような状況を表現しているのではなかろうか。

もう一つ。

普通、主人公が行った先々でいろんな出来事に出くわすものなのだが、これは違う。 出来事ややりとりが延々あった場所に主人公がやって来る。そこでの出来事に主人公は一切関与していない。つまり、これから主人公と関わる人物(少年・医者・片腕の男)の主人公と関わる以前の段階を描くことに主眼を置いている(これと全く逆の事を『ラン・ローラ・ラン』がやっている)。これこそドキュメンタリー風に見える(見せる?)テクニックの一つであり、その人物描写ばかりでなく、やはりここでもその国情を描こうとしている。つまり「人を見れば国が分かる」ということか。

だけど、こいつら誰一人正直者はいないし、主人公だって結局何もできずに右往左往するだけ。もちろんそれもこれも全て国情故なのだろうが、やっぱりそれを知らなければブニュエル映画かと思うほどのシュールさに吹き出してるだろう。

おっと、コメントもぐるっと元に戻ってしまった。

(評価:★3)

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