[コメント] マルホランド・ドライブ(2001/米=仏)
アムネジア(記憶喪失)の視線をかりて追う事実。ねじれて、よじれて、こじれてる。おかえりなさい、リンチ。
BV、TP、LH びいきに朗報。
『イレイザーヘッド』寄りに傾いた『ブルー・ベルベット』か、『ツイン・ピークス』並みにユーモラスになった『ロスト・ハイウェイ』か。リンチの得意な語り口が復活して私はウレシイ。
ストーリーをなぞるカメラの視線は悪夢向け。カメラ自体が事実を見出すことにおびえているみたいだ。いつもの、廊下の壁をなめるように、ゆっくりと忍び足で進んでゆく眼。徐々に明らかにされる残酷な景色。「その先にあるもの」の正体は観る者がおのおの見つければいい、という冷たい姿勢。
とにかく、この「悪夢」路線に戻ってきてくれたことを私は歓迎する。よじれた事実の群を整理するのは受け手である私であり、言葉をあてはめていくのも受け手の私なのである。
私たちに与えられるのは、謎めいた青い鍵。それは、ぴったりの鍵穴がみつかるまでの「映画空間」の旅なのである。
赤い緞帳と手招きする小人(語り部)、ハリウッドがみさせる夢。
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