[コメント] モンスターズ・インク(2001/米)
いくら「お化けなんていないんだよ」と説明しても、決して納得しようとしない子供たちのために。
ピクサーの映画は、いつも公開前にプロットを聞いた途端に「ははぁ」とニヤリとさせられる。アメリカの小説などを読むと、あちらのお化けはクローゼットから出てくるのがお約束らしい。昔の日本における、汲み取り式トイレの中からお化けの手が出てくるというのと同じ感覚なのでしょう。
子供時代、夏になると特に頻繁にTVから流れていたホラー映画のCMが滅茶苦茶怖かった。家族とTVを見ていて、ふいに口から血を流し青ざめた凄い形相でこっちを睨む女の人が映り、悲鳴をあげて耳を塞いでプルプル震えていた私に母親が「あれは歯槽膿漏なんだよ」と苦し紛れのフォローを言っていた(本当に苦しい)。そんな言葉や「お化けなんていない」というセリフは子供には到底届かない。ホントにいるかどうかは関係ない。多分今になって思えば、子供は夜中にムクムクと湧き上がってくる自分でもコントロール出来ない恐ろしい想像力に怯えているのだ。
だからピクサーはそこに楽しい想像を与えようとしたんじゃないかと思う。「確かにクローゼットの向こうにはお化けがいるけど、あれは仕事で君たちを怖がらせてるんだよ。ノルマ(と言ってもよく判らないだろうが…)があるから、あっちも必死。子供たちの悲鳴がエネルギーになるから一生懸命怖がらせて集めてるんだよ。でもホントはお化けたちも君たちの事を同じように怖がってるんだ、ほら」
これなら効果てきめん!…かどうかは残念ながらもう子供じゃないから判らないが、お化けを怖がる我が子を何とかなだめようとする父親としての製作陣の姿が目に浮かぶようで微笑ましい。
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