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[コメント] ピアニスト(2001/仏=オーストリア)

何でハネケの映画もっと上映しないの〜〜〜。
芋虫

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







友達とつるんでエロ本を見る男の生徒。 男(ワルター)と親しげに話をする女の生徒。

この生徒達って、家とピアノ教室を往復するだけだったエリカの幼少時代と対比する存在なんだろうね。 きっとそうだと思う。

ところで、鍵盤が勝手に動くピアノとかあるけど。 やっぱ人が指で奏でる曲とは何か違うの。 人が奏でる曲ってのは微妙な強弱とかがあってさ。 それって機械じゃとても×2表現しきれないでしょう。 そこには演奏者の感情があるの。 ピアニストっていうのはただ譜面通りに演奏すれば良いんじゃない。 歌手がカラオケで持ち歌を歌っても100点取れないのと一緒。 楽譜通りに唄っても面白くない。 熱いハートがないとね。 だからこの映画で『ピアニスト』ってのは人間らしさを意味してるんだと思うよ。 人間らしさってのは周りに左右されずに自分らしくあるって事でいいのかな・・・。

エリカは人生の他の事全部を捨ててピアニストになろうとしたの。 彼氏もいなかったし、多分友達と遊ぶどころか寄り道する事もなかったんでしょう。 でも結局ピアニストにはなれなかった。 でもエリカに才能が無かったんじゃない。 逆に他の事全部捨てたからピアニストになれなかったんじゃないかな。 エリカは全自動ピアノと同じなの。 ただ×2演奏するだけ。 人間ではなくって機械だったのでした。

エロ本生徒に説教したり、女子生徒のコートにガラスの破片を入れるってのは、職責とか男を取られた妬みとかとは違う次元にあると思う。 ただ自分が幼少の頃に出来なかった事をしている生徒達がうらやましくって、悔しかったんだと思う。

最後、自分の腕を傷つける事で演奏するだけの自分から解放されたかった。 自分らしくありたかったの。 エリカにとって人生初めての自分の判断。 多分そうすることでピアニスト(人間)に一歩近づいたんだと思う。

エリカってその性癖から特別視されてるけど。 例えば、学歴社会のレールに乗ってきて大企業に就職したけど、何か違うってやめちゃう人たちと一緒。エリカ的人間が周りにいる事はいくらでもあるし、それは自分にも絶対あるはず。自分をもてない人間がゴロゴロしてる。 そう考えると・・・。

これは人事じゃない!

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (11 人)Orpheus ゆーこ and One thing[*] 24[*] RED DANCER[*] ねこすけ[*] JKF[*] tredair[*] kazby[*] KADAGIO[*] Yasu[*] けにろん[*]

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