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[コメント] ノー・マンズ・ランド(2001/伊=英=ベルギー=仏=スロベニア)

素直に笑えないユーモア、インパクトを感じないラスト。そして鑑賞後しばらく経ってから生まれ、未だに晴れない、自分自身への疑念。。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







チキとニノが銃で脅し合いながら相手に「戦争を始めた責任がある」と言わせようとする場面や、ボスニア軍の陣地で新聞を読んでいる兵士が「ひでえなあ、ルワンダは・・・」とつぶやく場面などユーモラスなシーンになる度に、映画館で僕の二つ隣りの席に座った女性が大きな声をあげてとっても楽しそうに笑っていた。それを聞きながら、「おいおい、わかってんのかよ?そりゃあ笑うところではあるけど、それは笑い方が違うだろ?」と、僕は苦笑いを浮かべながら、正直彼女に対して少し優越感を感じていた。

そしてラストシーン。実はちょっと拍子抜けした。少し前に『鬼が来た!』の衝撃的な展開を観ていたことも影響していたかと思うが、この映画でもとんでもないことが最後に起きることを何となく期待しており、地雷を背にした兵士を塹壕に置き去りにする結び方にいまいちインパクトを感じることができなかった。

というわけで、本当によくできた脚本だとは思ったけど、自分自身期待した程ではなかったかなあ、というのが鑑賞直後の印象。よって★3とした。

だけど。。。

鑑賞後しばらく経ってもなんだかすっきりしない。なんとも言えない不安な感じが頭をもたげてくる。あのラストにインパクトを感じなかった、僕自身の方に問題があるんじゃないのか!?

ニノとチキは刺し違えるような形で命を失った。明らかに人の生命が失われている。国連軍はまだ生きている兵士を、助けようがないからといって簡単に見捨てている。こんなお話を観せられてもあまり心に響くものが無いなんて、僕自身の中で何かが麻痺してしまっているんじゃないのか?わかったような顔をして観ていた僕だけど、二つ隣りの席の彼女の方がよっぽど素直な観方をしていたんじゃないのか?傍観者的態度から踏み出そうとしない国連軍や、映像的価値のある場面を求めるだけのマスコミ。僕自身がまさにこの作品が皮肉を込めて描いていた彼等の姿そのものなんじゃないのか?

そんな自分自身への疑念が生まれたまま晴れず、何ともすっきりしないのです。。

(評価:★3)

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