[コメント] 猟奇的な彼女(2001/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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韓国好きです。
突然ですが、一言韓国語講座。
「カッ!」 意味:「行け!」 (電車で老人に席を譲らなかったピンクシャツの若者に彼女が一喝!」
「アラッソ。」 意味:「あっそ」 (キョヌの戸惑った態度に対して、彼女は向きを変えながら何度か口にする。通常の意味は「了解」。)
この突っぱねる雰囲気。他の言語で表現できますか? ハリウッドでリメイク? 売れっ子の女優が「ファッキング」言葉を連発するのが目に見えていて勘弁してほしい。どうせなら、メキシコとかブラジルとかスペインなどの情熱の国で作ってもらいたいものです。
さて、本作、チョン・ジヒョンの魅力はもちろんですが、韓国の魅力にあふれた作品でもあります。韓国と言えば儒教の国、孝行の国であることは良く知られています。電車では目上の人に席を譲るのは常識と聞いておりましたが、本作の若者が席を譲らなかったように、その儒教の文化も衰退が見られているようです。
彼女は席を譲らない若者に一喝! 席を譲ってもらった老人は、彼女のゲロをまともに受けながらもキョヌに彼女を介抱するように言います。 (この老人と木の下の老人はいい味出していたなー。本作は老人に対する敬意にも溢れていて良かった。)
そして、彼女は日本でも問題になっていた援助交際にも一喝。そう、チョン・ジヒョン演じる猟奇的な彼女は、韓国文化の乱れに警笛を鳴らす象徴としても描かれていたようです。 (本作で何回か出てきた「居酒屋」、韓国ではどういうわけか「炉端焼き」と呼んでいるのですが、良い意味でも悪い意味でも日本の文化の鏡を観ているようで面白い。)
彼女は電車に落書きをする子供にも一喝。これには驚きました。何故なら、韓国では小学校を卒業するまでは子供のいたずらには目をつむり、それ以降は急に大人として扱うという習慣があると聞いていたものですから・・・。彼女にとって、そんなのお構い無しなんですね。駄目なものは駄目なんだと・・・。想像するに、このシーンは韓国では何かと話題になったのではないでしょうか?
それと、本作を一層面白くしたものは、キョヌの存在だと思う。彼女のタイプは、ごく個人的にはとても韓国的な感じがするんだけれど、キョヌのヘナヘナぶりは韓国という国柄との間に絶妙なアンバランスを醸し出していた。チャ・テヒョンの痛いほどの熱演にも有難うの声を送りたい。
とにかく、ストーリーはハチャメチャでしたが、非常にテンポ良いあっという間の2時間でした。
あ、ちなみに、邦題は原題(ヨプギチョグンクニョ; ヨプギチョグン=猟奇的な、クニョ=彼女)をそのまま翻訳した題です。
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