[コメント] キル・ビル(2003/米=日)
タランティーノほど一作ごとに着実に成長している監督も珍しい。フレーミングの適切さなんか初期とは比べ物にならない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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青葉屋における一連のアクション・シーンについては、いくらなんでも長すぎるだろう、という気がしないでもないが、しかし舞台装置及び小道具の使い方は見事だ。池は観賞するためではなく人が落ちるために、手すりは人が掴まるためではなくそこに乗って戦うために設置されている。一階と二階という空間的構造はルーシー・リューとユマ・サーマンの(当該時点での)力関係を「見下ろす/見上げる」という視覚的な形で提示するためにあり、ラストにおいて同一平面上で繰り広げられるであろう「対等の勝負」を逆説的に準備している。また、テーブルは盾となり、その壊れた脚は凶器になる。リューの着物の色が白いのは血に染められるためであり、同様の理由で雪が降らされることになる。
これら舞台と小道具の視覚的かつ機能的な消費は「カルト映画的」でもなければ「B級映画的」でもなく、単に「映画的」なのであり、その起源は(私の絶望的に浅薄な知識に限って云っても)少なくともバスター・キートンの初期短編群にまで遡ることができる。タランティーノの映画的血統はきわめて由緒正しい。
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