[コメント] ミスト(2007/米)
僕は立ち上がることもできず、いつまでもエンドロールの向こう側を見続けていた。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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個人的には予感を残す映画が好きだ。その後の展開を予感させるラスト。喜びの中に悲しみ、悲しみの中に希望、希望の中に不安。その余韻は読了後の作品の印象をより深いものにする。この映画でも霧(ミスト)の切れ間から差し込んだのは、本来なら希望の光となるはずのものだった。しかし、今の彼にとってそれは・・・。
僕たちに残されたもの・・・。それは「予感」と呼べるような曖昧なものではなかった。言葉にならないほど残酷な現実と終わりのない苦しみ。あまりに悲しい結末に僕の心も悲鳴を上げる。それでも、と考えてみる。これは「問い」なのだ、と。ラストに希望を提示すれば、彼らの行動はすべて肯定されたことになるだろう。考えてみよう。僕たちの生きている社会は少しだけ歯車が狂えばあの閉ざされたマーケットと何が違うだろう。そこで僕たちはどう行動すればいい? どう生きればいいのか? 答のない問いに僕たちはどう答を出してゆけばいいのか? 僕はエンドロールの向こう側を見つめながらいつしかそんなことを考えていた。
このラスト、エスエフの名を借りた物語は揺るぐことのない普遍性を持ったと言えるだろう。素晴らしい作品に出会えたと思う。
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