[コメント] ライフ・イズ・ビューティフル(1997/伊)
子供に人生の負の側面を見せないために、ここまで嘘を重ねる必要があるかと反発を感じながら観ていたが、しまいには押し切られた。
この映画から、「戦争反対」とか、「どんな状況下でも最後まで希望を捨てなければ、必ず報われる」とか、「自分の命にかけても子供は守るべき」といった教訓を引き出すのは、意味のないことと思う。現実は、この映画よりは厳しく、こんな人物は一人もいなかったし、このようなことは一例も起こらなかった。起きる余地すらなかったろう。
ロベルト・ベニーニもそれはわかった上で、極限状況下で楽観主義を貫くことが、どれだけ人に力を与えるかということを、映画的に描いた。ある意味ファンタジーであり、“Life must be beautifull.”を“Life is beautifull.”と言いきることで描いてみせた映画だ。
下の方のコメントを見れば、万人を納得させたわけではないようだが、これだけ多数の賛同を得ているのだから、映画としては(商業的に、という意味でなしに)大成功だろう。
個人的には、表題(コメント)のように感じながら観ていたのだが、収容所の放送室のようなところにベニーニが忍び込んで、どこにいるかわからない妻に向かって、自分と子供が元気でいることを(例の陽気な調子で)放送するシーンで、堰が切れた。あとは滂沱。
チャップリンはもっと皮肉というスパイスを効かせた映画を作るよね。甘味一辺倒より僕は好き。
80/100(01/01/07記)
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