激しくめまぐるしいカメラの動きが、決戦の前の静寂を描くときだけ収まるのだが、そこで眠気に襲われる。これはストーリーに惹きつける力がないから。

アメフトやサッカーといった実在のスポーツであれば、自分の見た記憶と照合して、映画でしか体験できない極ミクロ的視点の映像も堪能できよう。だが“ローラーボール”なる架空のスポーツを魅力的に描くには、もう少し俯瞰して全体像を見せる必要があったのではないか。観客としての視点を有さないわれわれには、このわけのわからないスポーツに対し共感を覚えない。

実はスポーツを魅力的に描くことより、ショウ・ビジネス世界の腐敗や堕落を戯画的にえぐりだすことのほうがよっぽど難しかろう。それに成功していたかどうかについてはこの際問わない。問題は、あれだけ気にしていた視聴率についての報告がないことだ。いい加減な映画だな。

70／100(02/05/11見)