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[コメント] リメンバー・ミー(2017/米)

圧倒的な美しさと、強く納得する物語。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最高です。死者の国に行ってからデラクルスを探すあたりの展開のややとっちらかった点を除けばほぼ完璧。

先祖代々に伝わる「禁忌」。他の家族は言いつけどおり黙殺するが、孫の孫の主人公がそれに惹きつけられていく。あまりの威力のために封印された秘技を会得しようとする忍者一族の話に置き換えたっていい。何世代があとにそういう子が必ず出てきて結果的に一族の呪縛を解く。最高の冒険物語のつかみ。忍者もマリアッチも変わらないよなあ。家族との絆か、自分の冒険心か、っていう葛藤もあるんだけど、結局は自分を信じた道を行くことで、最後は家族の黒歴史さえ回復してしまう、という展開は、ご都合主義というよりも物語の王道にひれ伏してしまう感じだった。邪心を持たなければ自分の信じた道を行け。それが最良の道。と、やはり人はそう言われて生きたいもの。

村上春樹の「風の歌を聴け」に、誰かのことを誰かがこんなふうに思っていた、というような10年もたてば誰からも忘れ去られてしまって2度と思い出されないようなそんな無数の断片でこの世の中はできている、みたいなことが書かれていたと思うんだけど、リメンバー・ミーってそういうことだよね。僕らが生きていくのに必要で欲していることの核心でしょ。だからこの物語に打たれるんだと思う。それを圧倒的な美しい絵と音楽で極上のエンターティメントでだもんね(死者の国の美術もすごいけど、個人的にはメキシコの薄暮の街並みのおぼろな暗さみたいのにやられた)。

方程式といえば方程式なんだろうけど、冒険と成長と家族の絆の回復というテーマのみならず、ヒスパニック層の取り込みだとか、メキシコの描きこまれた横に広がる街並みの造型、一転、死者の国の「塔」のように上へ上へと冒険が進んでいく構造に宮崎駿的なエッセンスが取り入れられたりとか、ほんとに良く練られているというか鼻につくというか、さすが過ぎてもう参りました。

メモリやHDDにしまいこまれて実は取り出されることのないデータでなく、一枚のプリントアウトされた写真+思い起こし。大事なのは一枚の写真と記憶なんだよ、っていうテーマのこだわりに、横にだだつながりのネット社会へのアンチテーゼも効いている。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)Orpheus DSCH[*]

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