[コメント] シンドラーのリスト(1993/米)
ホロコーストを撮りたかったのなら、他のテキストでもよかったんじゃないだろうか?
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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始めは商売上の都合で言っているうちに、ふと気まぐれ的に首をもたげた正義感は本当の「善意」なのか?優位にたつものの「憐憫」なのか?ナチに対する「抵抗心」なのか?それとも「誰でもいい誰か」を救うことで自分自身の何かに対し贖罪を果たして癒されたいからなのか?それとも強い「意志」なのだろうか?
それが何であれ、多くの命を救える立場にいた男の心に、その身にかかる危険を恐れる気持ちを上回る気持ちとして起こり、実際に多くの命が救われたこと。そんな善悪2面だけで割り切れない人間性や、歴史が不思議な偶然性によって紡がれていく様を描くのに、シンドラーというキャラクターは面白い人物だと思う。スピルバーグのような映像技術とエンタティメント性に長けた監督がホロコースト作品を撮ったことに異論はないのだが、人間を描くのが不得手な(あるいは興味が無い)あなたが、何もシンドラーを選ばなくても・・・というのが正直なところです。
余談だが、この作品の最大の収穫といってもいいと思っているのは、スピルバーグがヤヌス・カミンスキーという彼にとって最良のカメラマンと出会ったこと。これ以降の全スピルバーグ作品で撮影を担当している彼の登板によって、スピルバーグ作品は失われつつあった往年のキレを少しだけ取り戻した気がする。
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