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[コメント] 決闘高田の馬場(1937/日)

良い時代劇には、良い殺陣の前に、良い人間描写がある。
ジェリー

韋駄天走りに、歪む顔。ひねりの入った決めのポーズ。これが、旧劇歌舞伎にすら影響を与えたという伝説の殺陣かあ。でも、これよりも良かったのは 中山安兵衛と長屋の町民とのやり取りのシーン。安兵衛が、町民を見下しも見上げもせず同じ人として扱っているところに感心した。ものすごい自然さだし、そこがリアルだ。

講談などいろいろな日本の伝統話芸に中山安兵衛は登場する。この映画は、よく日本人になじまれたキャラクター中山安兵衛のかっちりとした地塗りの上に、俳優阪東妻三郎の持ち味がしっくりと重ね塗りされ、スクリーンの向こう側から、体温の感じられる確かな存在感の人間がむっくりと立ち上がってくる。だから、最後のいかにも映画らしい殺陣が生きてくるのだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)ロープブレーク[*] シーチキン[*] ペンクロフ[*] ぽんしゅう[*] ボイス母[*] はしぼそがらす[*] 町田[*]

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