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[コメント] シェイプ・オブ・ウォーター(2017/米)

どうもスッキリしない。自分の欠損に気づかない(分からない)から、すべてを受け入れてくれる魚男を優しい(偏見がない)と感じる。これは話のすり替えではないのか。異物はあくまでも異物で、異物を愛さないまでも、受け入れることにみんな四苦八苦しているのだから。
ぽんしゅう

自分の異物性(発話障害)を否定しないから、相手が異物(魚男!)でもかまわないというのは変でしょ。自分が異物であろうが、なかろうが、相手の異物性(異性・異嗜好に始まり、異主義、異階級、異文化、異宗教、異人種、そして魚男!まで)を、うわべは別にして本心ではなかなか受け入れられないから、世界中のみんな(私たち)は平穏でいられず困っているのでしょ。

この部分、すなわち主人公(サリー・ホーキンス)の(恐怖心や差別心を易々と乗り越えてしまう)思いの強さの根拠が胡散臭いので、ただでさえ図式的な物語が浮ついてみえるのです。

こういう見え透いた“話のすり替え”をすると、音楽や映画に夢みごこちな主人公の日常が、ずいぶんと楽しそうに描かれるのは、作者のギレルモ・デル・トロが心の奥では清掃員という職業を見下していることの裏返しではないのか、と勘ぐってしまうのです。まあこれは、デル・トロさんの悪気のない、舌足らずさのせいだと、とりあえず思っておくようにします。

とは言え、観客の良心に甘えるのは、ほどほどにした方がいいと思います。

大好きなW.アレンやコーエン兄弟作品で顔なじみの役者さんが、たくさん出てきたのに免じて3点にしときます。

(評価:★3)

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