コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 鍵泥棒のメソッド(2012/日)

観る前は堺雅人が主役と思っていて、確かにすべての始まり、要の人物ではありましたが、香川照之のキャラクター設定と存在感が印象的で、そのキュートさにやられた。
なつめ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







心細い表情、素晴らしくきれいになった部屋、まったく似合わないカジュアル姿(几帳面さからシャツをイン。ボタンもきっちり上まで止める)、演じることの面白さにはまり努力を重ね本を積み上げる……。記憶を失ったものの、悲嘆に明け暮れるわけでもなく環境を受け入れ、努力をし、その几帳面さでまた再度道を開いてゆく、そのたくましさが素敵だ。

登場人物の少なさの割に複雑さを増してゆくストーリー展開で、まとめられるのか不安と、コンドウと香苗にはうまく言って欲しいと思う希望にハラハラドキドキ。なので、間の悪いタイミングで香苗が登場した場面には、そこでハードル上げますか! とびっくりしてしまったのだ。でも、思えばこの香苗の参入がないと、美術品の価値を宣言する存在がなく、事件も根本的な収束に向かわないのだった。ハードル上げても、キッチリそれ以上に見事な解決。

広末涼子。小野武彦演じる父の最後のビデオレター(完璧!)をみた直後の正面からの目の表情は本当に素晴らしかった。あと、頭で恋をしようとしていた彼女が香川照之のノートを見て「キューン」とし、「私は恋に落ちたんだ」と自覚した瞬間より“前に”、彼と別れる際に「あ、彼女は本当に恋に落ちた!」とわかったのが良かったなあ。

それぞれの役者さんがそれぞれの役を見事にこなしていた。荒川良々の静かな怖さ、車に乗った森口瑤子のやさぐれ具合には目が釘付け。だからこそ、森口瑤子の表情ばかり見ていて、ラストシーンで車の窓越しに二人が抱き合う直前の姿を見逃しました(シナリオ採録で知ったのです)。ショック!

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)G31[*] カルヤ[*] おーい粗茶[*] まー[*] セント[*] ぽんしゅう[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。