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[コメント] 川の底からこんにちは(2009/日)

まさにそこに生きている人たちの本当の息遣いが聞こえてきそうな体温が感じられる作品だ。強いなあと思う。本音がほとんどで飾りがない人生。人間から虚飾を剥いで剥いてしまったらこんな人間像が浮かび上がってくるだろうなあと思わせる。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







別に頑張らないでも生きていける時代なんて、遠の昔に無くなったんだよと現代人は知っている。それでもこんな世の中に誰がしたんだよ、と人のせいにばかりしたくなる人たち。自分は何もしていないから悪くないと考える。(何もしていないから悪くなるとは決して考えない。)時代が悪いのだ。世の中が悪いのだ。世界経済が急に今だけ悪くなっているのだ。あの時、あれをやらしてくれなかった両親が悪いのだ、、。とか、とか、、。

ぜーんぶ、人のせいにして自分はいかにも世の中の大波に呑みこまれた犠牲者風情の匂いぷんぷんの人々。いーかげんにせんかい、と言いたい。

と、かく言う吾輩も今の若者、否現代に生きている人々たちと実はそれほど変わらんのは事実。今まで書いたのは実は自分のことを告白しているのであり、自分もついこの前まで人のせい(あるいは世界経済)にしていたではないか、、。エゴで、何から何まですべて結局は他人事。

そんな、馬鹿な・哀れな・女々しい自分よ、さようなら。もうかっこはつけない。この映画を見てちょっとだけ開き直りました。ちょっとだけ元気になりました。映像的にも、演出的にも、演技的にもそれほど見栄えしない映画ですが、これらすべてのテクを超越してこの映画はえらいパワーを持っている。映画はテクじゃないですよ。直球の映画を前にして俄然映画の基本を垣間見た気がしました。すべての現代人に見てもらいたい力作です。

(評価:★5)

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