コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ドーン・オブ・ザ・デッド(2004/米)

ロメロゾンビの呪縛からいい具合に解放され、程よい距離感を保った。近年のゾンビ映画では二重丸。
クワドラAS

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







随所でみせる必死のガンアクションはこっちのテンション盛り上げてくれるのに十分な迫力(近距離のショットガンでは頭部吹っ飛びと威力の使い分けもしっかり描写)。トレーラーでゾンビなぎ倒しのCGもきれいに決まった。さりげなくオリジナルの出演者をモニター越しに出すところもファンにはうれしい限りだ。モールに篭城する人数は総勢13名で、それぞれの描写が場当たり的になってしまったのはこの数からすればしょーがないが、誰が誰だかわからないということは無い。似たような顔立ちがいないことと、3段階に分けて登場人物を増やすその見せ方が混乱を防いだのだろう。気になっていたゾンビ達も100mを楽に9秒台で走り抜けそうな勢いで襲い掛かり観る者に切迫感を与えている。メイク的にはマズマズといったところか。全体的にはロメロゾンビのドンヨリした重い終末観を極力排し、ショッピングモールという魅力的な舞台装置というアイデアを継承し、篭城から脱出までの顛末をスピーディー且つスリリングに描いたさしずめ「28日後」ガチンコバトルバージョンだ。

だが、残念なところもある。これは俺的にはかなり重要なポイントだ。そのポイントとは舞台の大半を占めるショッピングモールのことだ。この映画の為に造っちゃったというんだからそれはリキ入ってるのは認めよう。だがどうにも見せ方がなってない。まず侵入方法。「いきなり便器でガチャーンとやって入りました」おいおい随分雑な見せ方だなと。建物に入るところから焦らずにじっくり見せて欲しかった。それと、どこにどの部屋やショップがあるのかがわからず、観てる方としての空間認識が全くできない。オリジナルのほうはその辺をきっちり見せているので、モールに対する愛着感みたいなものが俄然沸いてくるのだが・・・。そのせいもあるのかモール内でのひと時の余暇活動に「俺もやりてえなー」という感情がイマイチ盛り上がらない。まあ双眼鏡でいちいち次の手をやりとりする気の遠くなるチェスには笑えたが。

どうしてもオリジナルと比較してしまうんだが、それを抜きに評価すれば、軽快なゾンビアクションとして間違いなく楽しめるし、ポップコーンムービーとしても最適だと思う。作り手の方向性は間違ってない。っていうかこれしかないよ。オリジナルに思い入れのある俺だからこそ余計そう思う。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (11 人)おーい粗茶[*] 死ぬまでシネマ[*] セネダ t3b[*] ハム[*] 氷野晴郎[*] kawa[*] 新町 華終[*] ミュージカラー★梨音令嬢[*] わっこ[*] けけけ亭[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。