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[コメント] アメリ(2001/仏)

わたしが好きなことは戸棚のにおいを嗅ぐことと、古本屋に足を一歩踏み入れる時のドキドキ。←と以前コメントを書いたのですが、
は津美

古本屋に足を踏み入れる時のドキドキは狩猟の前のハンターのような、 シマウマの群れを見つけたライオンのようなギラギラした気持ちなので 「『アメリ』的好きなこと」にはふさわしくないような気がする。 それはさておき。

私がこの映画を観た時にはまだそんなにヒットしてたわけじゃなくて、 こんな風に内向きで毒のある表現を含む映画が 「オシャレ映画」として愛されるとは思ってませんでした。 人と上手くつきあえないし、この世の中が生きにくい、 どこかでそう感じてる人の胸を 小さな明かりで照らして、幸福感に満たされる、 そういう映画だと思っていたので。 ま〜、日本人の操作しやすいことといったらないよ。

「オシャレ」をよそおって実はダメな奴の為の映画。 でも巧妙にかわいらしさと幸福感の蓑でつつまれてて気付かれない。 アメリはかわいいけど、自己完結しちゃってるダメなコですよ。 (数々のいたずらは単に人を幸せにしているだけではない事を直視せよ。) ダメなコでも幸せになれる★っていうファンタジー。 「ダメなコ」であるところの自分も、とても心が軽く、 あたたかく、シアワセな気持ちで帰途につく事が出来ました。 でも手放しで5点はつけられない。

「オシャレ」を宣伝文句にうたいつつ実はダメな奴の為の映画というと、 『ゴーストワールド』を思い出すんですけど、 あれは製作者サイドには「オシャレ」を売りにするつもりなんて さらさらなくって、観ればものすごく痛くてハンパな気持ちじゃ ヤラれてしまう中身なのですけれども、 『アメリ』の場合はけっこう確信犯だと思います。 それに、なんというか、甘えている。慰めの映画なんですね。 前者が「キミはそのままではだめなんだ。」と気付かされる映画だとしたら (そんな簡単な言葉で片付けられる映画ではなけれども、ま、便宜上)、 後者は「キミはそのままでもいいんだよ。 ちょっとだけ勇気を出せばいいんだ。」 っていう少女漫画のヒーローみたいなところがあると思う。

そのへんが満点じゃない理由。 でも、人を慰めて幸福にしてあげられるってすごい事じゃないですか? 少女漫画のヒーローみたいな男は現実にいないのと一緒です。

(評価:★4)

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